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話題の「Ordinals」NFT! 事業家として手を出さない3つの理由

最近、TwitterのようなSNSでビットコインのブロックチェーン上に存在するNFT(非代替性トークン)、「Ordinals」に注目が集まっています。
OrdinalsはフルオンチェーンのNFTで、発行コストがイーサリアムの場合と比べて格段に安いという利点があります。
しかし、その一方で、事業として行うには考慮すべき問題点も存在します。今回は、OrdinalsのNFTを事業として行わない3つの理由について解説します。

Ordinalsとは何か

「Ordinals」は、ビットコインのブロックチェーン上に発行される非代替性トークン(NFT)です。まずは、特徴を簡単に紹介していきます。

フルオンチェーンのNFT

Ordinalsは、NFTの画像データをビットコインのブロックチェーン上に直接保存します。これにより、ビットコインが存在する限り、Ordinalsも永続的に存在し続けます。イーサリアムのNFTとは異なり、画像データを外部のサーバーやIPFSに頼る必要がありません。4MBまでのデータであれば、ブロックチェーンに格納できます。

ロイヤリティ手数料がない

Ordinalsでは、NFTを作成したクリエイターに還元されるロイヤリティ手数料がありません。こちらも、クリエイターが自らロイヤリティを設定できるイーサリアムネットワークのNFTとは異なります。

発行コストが安い

Ordinalsは、ビットコインのブロックチェーン上でフルオンチェーンのNFTを発行するためのコストが、イーサリアムと比較して大幅に安いです。
具体的には、100KBの画像データを書き込むのにかかるコストは、ビットコインでは約7.5〜15ドル(約1,000円〜2,000円)ですが、イーサリアムでは約775〜1,550ドル(約10万5,000〜20万9,000円)となります。
※引用:ビットコインNFTとは?「Ordinals」が実現するNFTの特徴と仕組みについて解説 | Coincheck(コインチェック)

発行上限がある

Ordinalsの発行上限は、ビットコインの最小単位であるsatoshi(Sats)の発行上限である2100万BTCに依存しています。この発行上限は、satoshiの番号の最大値である「18446744073709551615(16進数でFFFFFFFFFFFFFFFF)」に設定されています。
1.8垓(がい)と1京(けい)の次の単位で表す数です。

新しいトークン規格の使用

OrdinalsはBRC-20トークンという新しいトークン規格を利用します。BRC-20トークンは、Ordinal Theoryに基づいてsatoshiに番号を割り当てることで、ビットコイン上で新しい資産を発行できるようになりました。

事業として手掛けない3つの理由

そんな、特徴を持つビットコインのブロックチェーン上に発行される「Ordinals」を私自身、事業として絡めない方針で考えています。

”やらないこと”をあえて明確化することも事業者として大事な考えですので、今回、言語化してみました。
では次に事業としてOrdinalsに手を出さなない3つの理由を紹介していきます。

理由1. 発行上限による汎用性の低さ

まず、先ほどの特徴でお伝えしたように、「Ordinals」はイーサリアムネットワークのNFTとは異なり発行上限がある点が課題です。
この上限は、将来的にNFTが一般的に使用される(例えばマイナンバーや履歴の証明といった形で)可能性を考えると、その普及を制限する要因となり得ます。ある程度以上の規模でNFTを利用したい場合、この上限がその汎用性を損なう可能性があるのです。

具体的な喩えを「履歴書」を事例として挙げてみます。
一般的に私たちが就職の際に用いる「履歴書」を考えてみてください。もしも履歴書を作成するために”金(きん)”を使うとしたらどうでしょうか。金はその希少性から価値があり、美しいものを作る素材としても用いられます。しかし、その価値と美しさは反面、高価であり、量産が困難な素材でもあります。したがって、金で履歴書を作成するということは、非効率的で高価な選択となるでしょう。

一方、履歴書を普通の紙に印刷する場合、紙は安価であり、さらには無尽蔵に生産可能です。これにより、どんなに多くの履歴書を作成したい場合でも、必要なだけの紙を用意することが可能です。また、履歴書はその本質上、多くの人に配布され、大量に印刷されることを前提としています。そのため、安価で発行上限のない紙に印刷するのが一般的です。

この例を「Ordinals」のNFTに置き換えてみると、OrdinalsのNFTは発行上限があるために「金」に似ています。つまり、ある一定の数以上は作成できないという制約が存在します。一方で、私がNFTで実現したい未来では、NFTをインフラとして一般化させていくことが重要だと考えています。そのためには「紙」のような無尽蔵に発行できるNFT、すなわちイーサリアムネットワークを主体としたNFTの方が適しています。

理由2. 市場拡大の一手にはならない

OrdinalsがNFT市場に新たな風をもたらしていることは間違いありませんが、その市場の拡大には一部の疑問が残ります。その主な理由は、Ordinalsのユーザーベースとその市場の奥行きに関してまだ明らかでないことです。現状のOrdinalsのユーザー層は主に、すでにイーサリアムネットワークのNFTに親しんでいる人々やビットコイン投資家で構成されています。

しかし、これはOrdinalsの市場が新規のユーザーによって拡大している証拠を示すものではない。新規の利用者の流入が見られない限り、Ordinalsが担う市場の拡大は限定的となり得ます。また、Ordinalsの普及を妨げる要素として、ビットコインの発行上限があることも指摘されています。そのため、市場全体の拡大の一手とはならない可能性が考えられます。

その観点から、NFTをインフラとして活用する世界の実現を目指しているNFT事業者として、Ordinalsに手を出すメリットは感じられません。

理由3. ソーシャルトークンを活用した経済圏の確立への注力

私自身、現状「農業×DeFi=FarmFi」の構想を掲げてソーシャルトークンとして、FT(可替性トークン)とNFTを掛け合わせた事業を推進しています。

このソーシャルトークンであるFTは、コミュニティの活動に参加したり貢献したりするメンバーへの報酬として配布され、農作物のNFTや限定商品、サービスと交換可能です。この取り組みにより、Metagri研究所は農業の持続可能性を高め、新たな価値創造の一歩を踏み出しています。
時間とリソースが限られる中、「選択と集中」の考えで、新たなNFTに手を出すことは事業推進の妨げになると考えています。

以上がOrdinalsのNFTを事業として進めない3つの理由です。

「Ordinals」の動きは引き続きウォッチ

その一方で、希少性が担保される特定のケースにおいては、OrdinalsのNFTが価値を持つ可能性があります。例えば、年間数箱しか出荷できない特定の農産物とセットでNFTを発行するなどのアプローチが考えられます。このような希少性が価値となる場合には、OrdinalsのNFTは有効な手段となるかもしれません。

また、投資家の視点から見ると、OrdinalsなどのNFTには確かに投資の機会が存在します。ビットコインのように、これらのデジタル資産が将来的に価値を増す可能性があります。しかし、投資にはリスクが伴います。値下がりする可能性もあるため、無理な投資は避け、自己の負担にならない程度の金額を投資することが重要です。また、価格が割安な時期を見計らって購入することで、リスクを軽減することが可能です。
私自身も投資家としての一面を持っており、Ordinalsなどの新興のデジタル資産に投資する機会を探しています。しかし、投資の原則を忘れず、リスクを十分に理解した上での投資を心がけています。

ぜひ、みなさんも新たなNFTの潮流を見ながら次の一手を考えて見ていただけると幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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