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市民病院だけど、市にできることは少ない?ー②

まずは、当事者の長浜病院に話を聞いてみよう。

滋賀県内の産婦人科で相次ぐ分娩中止に危機感を覚えた私は、県内の産婦人科事情を調べてみることにした。
(↓前回の記事はこちら)

まず、今年1月、分娩中止を発表した市立長浜病院に話を聞くと、担当者は「滋賀医科大からの産婦人科常勤医師4人の派遣がなくなるため」と説明した。今年度、病院では自治医大の1人を加え、5人で約160件の分娩を扱ったが、一旦全員3月末で退職する。 新年度から、今年定年を迎える医師1人を嘱託医として雇用し直し、婦人科外来は継続させるが、分娩は休止せざるをえないという判断だった。

滋賀医科大から、派遣中止の連絡が来たのは昨年11月。病院は継続を望んだが、叶わなかった。 産婦人科病棟は、2020年に個室の割合を増やすなど、リニューアルしたばかり。4月以降に分娩を予定していた妊婦は約50人で、希望を聞きながら、他機関と調整を図っているという。  

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「残念だがどうしようもない」と話す担当者の無念は感じ入るものがある。かつて病院は09~15年まで、「院内助産所」が開設されていた。妊婦が求める「多様な産み方」に寄り添おうとした証しに思えた。 しかし、15年に岐阜大から派遣されていた小児科医が「(岐阜)県内の医療体制の充実」を理由に引き揚げた。常勤医を失い、産後の乳児を診る体制が不足しているとして、院内助産所は中止に追い込まれた(18年から、長浜市は近畿大に寄付講座を設置し、小児科医1人の派遣を受けている)。

 今回の分娩中止も、大学医局の人事に翻弄された結果なのだろうか。とはいえ、市立病院の運営には、市民の税金も使われている。

長浜市民病院は市立。
市は、今回の事態をどう捉えているのか。

市地域医療課に話を聞いた。担当者の第一声は「我々としても残念としか言いようがない」。市は病院運営を市病院事業管理者に委ねている。予算の配分はするが、具体的な施策を提案するわけではない。医師の確保に各病院は努力するが、「医師確保計画」を立てるのは県の役割で医療資源の配分には手が出せないという。

 市税を投じてリニューアルした直後に医師の引き上げにあったとしても、市にはなすすべがない。「医療行政は県の役割。市としてできることは少ない」とも。市民病院なのに「市にできることは少ない」なんて……。 

「保健所は県の出先機関。湖北の医療構想は長浜保健所が事務局だ」と教えてくれたので、保健所に向かうことにした。

「どうなる?お産」③回はこちら
決めていたのは、県だった。ー③
https://note.com/noubisya/n/ncc54b224d2ad
こちらの記事は、「朝日新聞・滋賀県版」「滋賀夕刊・長浜版」に寄稿しています。両紙に掲載後、随時noteを更新して参ります。ぜひ、ご意見・ご感想をお寄せください。


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