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よしさんへ-上肢空中保持のための自主トレ-

お疲れ様です!はらリハです!

本日は、LINE相談を受けた方に向けた自主トレ紹介です。

他の方にも参考になれば幸いです。

目標となる課題

[基本情報]
☑︎ br.stage 手指Ⅴ、上肢不明(前ならえが可能なのでⅣはありそう)
☑︎ 臥位、座位では指はある程度動くが、右手を前ならえでは指を真っ直ぐできず、保持は数秒のみ。グーパーは横になれば可能だが、起きている状態では数回で固まってしまう。
→ 肩付近の弱さの自覚があり。

[ 動画から得られた観察事項(指グーパー/指折り) ]
☑︎ 手指の運動神経の繋がりは保たれている
☑︎ 指をパー(手指伸展/MP関節外転)にするのは努力的
☑︎ 示指と中指の間の筋は特に硬そう
☑︎ 中指と薬指は分離(別々に分けて)動かすのは苦手…中指の方が上手
☑︎ 親指と小指の対立筋(親指と小指の指腹をくっつける動き)は難しそう…特に小指の筋の出力は弱そう(小指対立筋、小指外転筋、尺側手根伸筋)
+手首が小指側に抜けやすく、小指側の動きは支持として働き難い
☑︎ 全体的に動きが硬い
☑︎ 親指の付け根の関節(MP)の動きがほとんどない
☑︎ 手のひらが内側に倒れやすく、曲げる筋肉と内側に移動、回旋させる運動パターンで手を動かすことを学習している可能性あり(予測)

 課題は…

☑︎ 空中で上肢を保持するときに指が動かしにくくなる、腕自体も下がってくる

 ここのアプローチを考えていきます。

上肢を空中で保持させる動きに必要な要素(簡易)

☑︎ 必要な関節運動
→ 肩関節屈曲
→ 肩甲骨外転、外旋、後傾、上方回旋
→ 胸椎伸展、骨盤前傾
☑︎ 必要な筋活動
→ 僧帽筋上部・中部・下部繊維、三角筋、前鋸筋、棘下筋
☑︎ 必要な認知的側面
→ 肩関節の運動によって物体への方向性や距離を調節する機能
→ 「方向/距離/形」の空間知覚

よしさんの問題点の仮説

 まずは、観察点のまとめ。

1)観察点のまとめ

 指の動きから運動神経の繋がりはかなり良いと思います。

 ただ、指の動きは全体的に努力的で、偏りのある力の入れ方が特徴です。

 この「努力的な動き」は…

 「目的の動き」に対して、
☑︎ 必要な筋出力と可動性(関節、筋)
☑︎ 注意すべき体性感覚(方向、距離、形など)
☑︎ どうイメージするか(どこに注意を向け、どの程度の力を入れ、イメージと実際のズレをどう捉えるか)

 が学習できないと改善は難しいです。

 よしさんの場合、

 関節運動や筋出力で言うと…

☑︎ 小指側を支える力の不足
☑︎ 親指を自由に回す動き(伸展、外転、対立)の不足
☑︎ 各指を伸ばす、外側に開く、閉じる筋肉出力と関節可動域の低下
☑︎ 手関節を上げる(背屈)、親指側に傾ける(橈屈)動きの不足
☑︎ 前腕を外側でキープする可能性の低下

観察から確認できる筋、関節の問題要素

 この部分が課題として観察されます。

 その他の「感覚」と「イメージ」は、セラピストからの直接的な介入が必要です。

※ 目的の動作が行為ではなく、動作(上肢を空中に保持)なので。

 これらの指の問題に対して、手を空中に保持した中で、座った姿勢の差異(違い)が生じるのは、よしさんが相談した通り、「肩周り、肩甲帯、体幹の安定性の低下」が先に解決すべき課題と考えます。

2)手と肩の関係

 なぜ、寝た姿勢で手は動くのに、前ならえの姿勢では手のパフォーマンスが低下するのか?

 1つは「手と肩の関係性」が崩れていることが考えられます。

 肩甲帯や体幹は、手を動かすための「土台」です。

 肩甲帯や体幹が安定していない=「土台が不安定」のため、その不安定さを本来の安定させる機能を活用できない結果、「代償」と呼ばれる努力的な身体の使い方を誤った学習(誤学習)することで、本来の動きができなくなる可能性があります。

 つまり、この不安定さが、指を動かすための「脳→指」への情報伝達(脳から筋肉への神経伝達)が阻害され、自身がイメージする「指の動き」ができなくなる可能性があります。

3)上肢を空中で保持させた時に指が動かしにくい原因の仮説

 上記の話をまとめると…

なぜ上記の課題が困難?
① 体幹、肩甲骨の「土台」の機能低下

② 土台の代わりに代償の出現(努力的な活動)

③ 本来の「土台」が機能せず、代償の出現に伴い、肩と手の連動的な動きを阻害

④ 結果、前ならえをした状態で手を動かすと「手がすぐに固まる」現象が起きる

問題点の仮説と流れ

 では、どこにアプローチすべきか?

 まずは「必要な筋活動と関節可動域」を課題として取り組みましょう。

[ 必要な筋活動と関節可動域 ]
1)筋活動
・前鋸筋
・僧帽筋
・三角筋
・棘下筋
2)関節可動域
・ 肩関節屈曲
・ 肩甲骨外転、外旋、後傾、上方回旋
・ 胸椎伸展、骨盤前傾

自主トレ紹介

□ ニュートラルポジションの学習

ニュートラルポジションのセッティング方法

 コアコントロールを高めるには、力の入れる感覚も大切ですが、お腹に力を入れるというよりは、力の入りやすい姿勢を覚える、感じ、それを普段の生活で発揮させることが重要です。

1)コア・コントロールとは?
→腹横筋、骨盤底筋群、横隔膜、多裂筋で構成される
→イメージは肋骨下部〜骨盤にかけて筋肉で出来たボールが収まっている感じ
2)コア・コントロールの役割
→体幹の安定性を確保(バランス良く)
→体幹、四肢の運動性を確保(円滑で効率的な)

コアコントロールとは?

 上記の姿勢、順番を参考に、コアコントロールを感じ、その感覚を使いながら自主トレを行いましょう。

※ 普段の日常生活でも意識できると良いですね。

□ 胡座で肩甲骨と背骨の運動

肩甲骨と背中の運動

□ 体育座りで背骨の運動

背骨の運動

□ cat&cow

cat &cow

□ 臥位で前鋸筋促通

[ ポイント ]
☑︎ 手を天井に近づけるイメージ
☑︎ 背骨から肩甲骨が離れる感覚
☑︎ 肩甲骨がベッドから離れる感覚
☑︎ 戻すときはゆっくり肩甲骨がベッドにベタッーと馴染むようなイメージ

□ 四つ這いで上肢挙上

前鋸筋の促通

□ パピー肢位で前鋸筋促通

□ 新聞破り

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