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アーティストの贖罪は

失礼ながら、アーティストの不祥事はめずらしくはない。
むしろ、破天荒でふつうのヒトとは違うというイメージが売り上げに貢献している場合もある。

破天荒な主人公で人気を博していた小説は、実直な郵便職員が書いていると知れたとたんにピタリと売れなくなった。残念ながら名前は忘れてしまったがそんなことがあった。ググってみたが出てこなかった。

日本ではアーティストの不祥事は死活問題だ。
週刊少年ジャンプで連載をしているアクタージュの原作者が逮捕された。

私の父は熱狂的なジャンプ信者。こち亀、ドラゴンボール、ワンピース、ワイルドハーフ。長期的な連載の単行本はたいてい揃っていた。むろん初版で。そんな父の英才教育で育った私も毎週読んでいる。

アクタージュはどちらかと言えば女子向きの作品だと思う。俳優。女性主人公。目立ったアクションもない(当然なのだが)。正直、ジャンプでは難しいとさえ感じた作品である。

だが、とにかく絵が美しい。
カラーイラストの配色もだが、モノクロのストーリーでも彩色を感じる。私だけだろうか?私はメガネをかけてはいるが、色眼鏡をかけているつもりはない。

そのマンガの原作者が10代女性への強制わいせつで捕まった。勘弁してほしい。

主人公の夜凪 景は父親と軋轢がある。父親は不倫もしていた。
まさか生みの親までこんなことになるとは思わなかった。勘弁してくれ。

読者の心配は今後の継続だろう。過去、連載中に逮捕された作家のマンガは突然の打ち切り。だけでなく既刊は絶版となった。絶版だ。もう新品では手に入らない。集英社は容赦しない。

しかしながら、この対応は誰に対しての配慮なのだろう?

マンガだけではない。ミュージシャンが違法薬物でとっつかまれば音楽の配信が止まる。俳優が不倫をすりゃドラマから消されて地上波でエンガチョだ。いったい誰への贖罪だ?

被害者への配慮だと言うなら結構だが、ワイドショーは不祥事以下の報道を繰り返している。視聴者でさえ恥を覚える赤裸々さ。ついていけないし報道者も被害者に土下座しなくてはならない。不祥事を報道すりゃ穴二つだ(容疑者と報道者分)。

話を戻そう。供給の停止は被害者への配慮ではないと思っている。めんどうなクレームを避けるためではなかろうか?続けていりゃめんどうな奴らがやってくる。ならやめっちまおう!

昨今の『配慮』ぶりを見ると異常だしベクトルがおかしい。不祥事を作品にまで押しつけるのは正しいのか。

しかも、今回の逮捕は原作者。作画は別の女性が担当している。見事なとばっちり。だって報道でさらされるのは絵だ。これ以上の侮辱はない。

被害を受けた女性に被害を取り下げろというつもりもない。絶対に取り下げないでいただきたい。現実世界こそ悪ははびこってはならない。

しかし……どうか、俳優として歩みはじめた女性と、漫画家として花開いた女性に責を負わせるようなことはしないでいただきたいものだ。

(約1,200文字)

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