「なんで学童に行かなきゃ行けないの?」の先に、親子の選択肢が増えて欲しい。

「小1の壁」と聞くと、経験者と未経験者では想像する内容が違うのではないでしょうか。

小1の壁は、実は画一的なものではありません。
よく聞かれるのは「学童に預けられる時間が短い」「未就学児までしか時短が取れない」など、勤務時間の物理的な問題と認識されがちです。

しかし実際には、「登校・学童しぶり」「子供の友達関係」「消しゴムのかけ方すらわからず、何が宿題なのか分からない子供に対し、0から教えること」など様々。
子供の得意不得意や、親の仕事、学校との相性など様々な要因に左右されます。

保育園と小学校で驚いた差

保育園事情はここ数年、共働きの親に寄り添い、ガンガン進化してきてくれたように感じます。
私が保育園児だった30年前は、保育園といえば自由でのどかで、ある意味「子供の放牧」のような要素が強かった記憶。
最近の保育園はけっこう至れり尽くせり。子供のことは保育士さんがかなりしっかり見てくれ、日々の様子も、声掛けの仕方も親に対して情報共有してくれるます。中には離乳食もトイレトレーニングを園で進めてくれる場合も。
安心してお任せできる保育園に入園できれば、育児のことは保育園に相談できるし、子供の友達関係も、ある程度親が把握することが可能です。

それに対し、小学校は30年前と同じようなスタンスが続きます。学校は「勉強を教える場」であり、それについてこられない場合は、家庭で遅れを取り戻すよう、子供に働きかける必要がありました。

それまで保育園に協力していただきながら、なんとかやってきた親は一気に精神的、物理的な支えを失う。

子供は今までと違う環境に戸惑い、親は親で「こんなに子供に対してフォローが必要なの!?」と、親子でガツっとつまづく。

保育園では「お子様へ」「保護者様へ」として対応してくれていた環境から、小学校では「児童」「保護者(場合によっては父兄)」という対応をされます。
経験者である私にとって、「小1の壁」は、そんなイメージです。(すべての小学校が…と言うわけではなく、私の経験上です)

我が家が経験した小1の壁は、高かった

我が家の場合、小1の壁はかなり高く感じました。
親子ともに慣れない勉強。
学校と学童だけではとても授業や宿題についていけず、長期休みには学童への行きしぶりなどもあり…、とにかく親のフォローと胆力が必要だったのです。

「共働きでフルタイム出勤」で、親に余裕がない場合、小学校1年生に対し「必要とされるフォロー」の手が足りず、親子共にかなりストレスが溜まります。
宿題や勉強はもちろん、持ち物の確認なども。
勉強や持ち物の準備が得意な子であれば、小1の壁はそこまで高くありませんが、そうでない子の場合はなかなかに大変です。

わが家で一番堪えたのは「どうして学童へ行かなきゃいけないのか?」と子供から問われた小1の夏休みでした。

「どうして学童行かなきゃいけないの?
友達はお休みなのに、どうして僕は休めないの?
ママが仕事しているから?
どうして仕事するの?家にいてはいけないの?
僕がお金をあげれば、ママは仕事に行かなくて済む?
僕がお金をあげれば、僕は学童に行かなくていい?」

その問いかけは、かなり胸に刺さりました。
「私が仕事をするのはお金のためはもちろんだが、自分のためにも必要なことなのだ」

そう伝えたいのだけど、では「イヤイヤ学童に行くしかない」という子供の選択肢の狭さに自問自答を繰り返していた日々。
「行き渋り」を受け止め、悩むのは「ママ」だけで、「パパ」が関わっていないのもおかしな話であり、このことをきっかけに、働き方や家族とのかかわり方もだいぶ見直しました。

当時は私も通勤をやめることもできず、1日10時間近くのお留守番をさせることもできず…。
結局小1の夏休みは、子供をなだめすかし、有休を使いながら学童へ通ってもらいました。

そうこうしているうちに時が経ち、子供は友達と良好な関係を築きはじめ、学校生活に慣れ、「行き渋り」はなくなったのですが、当時「リモートワーク」という選択肢があったら、どんなに良かったかと思ったものです。

ウィズコロナは、小1の壁を低くするのではないか

さて、私が小1の壁にぶち当たったのは数年前のことですが、2020年、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業のリモートワーク導入が進んだように思います。
(もちろん職種的にリモートワークが導入されない職業の方も多くいらっしゃると思います。国土交通省による、テレワークの導入調査では、テレワークの取入れ率は15%です)

「小1の壁」にとって、リモートワークの導入が進むことは、かなりプラスな自称だと感じました。
「小1の壁」のハードルは下がるでしょうし、2次効果的に「パパの育児」にもつながると感じます。

どの点がプラスになるかと言うと大きく3点です。

・親子の時間が増え、子供をフォローしやすくなる
・子供の状況に応じ、家庭で過ごす選択肢がとれる
・父親の在宅時間が増える→父親が育児の当事者になる

親子の時間が増え、子供をフォローしやすくなる

私の場合、通勤がない日は子供のお迎えに1時間早く行けるようになりました。(勤務時間は変わらず)

これまでの平日は、19時ギリギリに学童のお迎え。第1子の学童に加え第2子の保育園にもお迎えに行き、その後家事育児をしているとあっという間に寝る時間は22時…。
平日に小学校の宿題や勉強を見てやる時間はほとんどない。せっかくのんびりできる土日には子供も私もお互いカリカリしながら宿題の遅れを取り戻す日々。

リモートワークでお迎えが早くなったことで、お風呂に入った後に宿題の丸つけをし、間違っているところを教えたり、寝る前に親子で絵本を読んだりする時間も取れるように。
これは家族にとって大変良い変化でした。

子供の状況に応じ、家庭で過ごす選択肢がとれる

「学校に行きたくない」と、朝いきなり子供が言い出すことは往々にしてあります。
そのたびに親としては(え!?今!?もう出発の10分前ですけど!?)と焦るものです。
その瞬間、「さらっと受け流して行かせるべきか、仕事に遅刻してでも話をじっくり聴くべきか、午後イチでお迎えにするか、今日は休んでいいよと言うべきか…」をぐるぐると思案するんですよね。

その時に「遅刻、早退、欠席」の選択肢があるかないかで親の心的負担はだいぶ減ります。
また、子供だってたまには「行きたくないな~」という日はありますよね。そのタイミングで「命の洗濯」をできるといいなぁと思うのです。

子供を見ながらのリモートワーク、毎日は無理でも、たまにならなんとかやりくりできるかも。


父親の在宅時間が増え、父親が育児の当事者になる

パパとママでリモートワークのしやすさを考えた際、父親側の方がリモートワークができる環境下にあることが少なからずあります。
ジェンダーギャップが大きい要因の一つなのは明白です。
男性の方が管理職、正社員の割合が高く、女性の方が非正規雇用、医療介護産業従事者である割合が高いためです。
父親が在宅しリモートワークすることにより、家事、育児時間が長くなります。
実際、自粛期間以降、保育園で見かける父親の送迎風景は圧倒的に増えたように感じます。

未だに小学校入学とともに退職せざるを得ない女性は多いですが、父親が在宅しているのなら…と、仕事を続けられる女性が今後、増えていくかもしれません。


最後に


ウィズコロナに伴う在宅勤務の増加が、「小1の壁」に変化をもたらすことは確実にあるでしょう。
社会にとって、子供たちにとってそれは「良い変化」だと、期待したいものですよね。

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