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龍乃原喫茶 田辺市龍神村 和歌山県/日本一周の旅

龍神村。
龍神村という名前を初めて聞いた時、心が躍ると同時にとてつもなく神秘的な場所に足を踏み入れてしまうのではないだろうかと襟を正したくなるそんな気持ちがあった。

私たちはこちらに来る前に、旅のテーマの一つでもあった神社仏閣巡りの中で、大好きな伊勢神宮をはじめ、二見輿玉神社、熊野本宮大社、神倉神社、熊野速玉神社、神内神社、熊野那智大社を参拝し、いよいよ目の前に迫る念願の高野山を目指していたところだった。

目的地への途中で見つける素晴らしいレストランやカフェとの出会いも面白く、予期せぬ素敵な出会いは沢山あって、それもまた旅の醍醐味でもあり人生の醍醐味へと変化していった。

そんな印象的で忘れられない場所のひとつが龍乃原喫茶食堂。当時はまだプレオープンだったらしく情報が殆ど無い中で、たまたま私たちはgoogle mapで発見し、オープンしているか分からないけれど、ここは絶対に行ってみたいと訪れた場所。

車を降り、お店を見つけて歩いて行くその時に、その勘は間違いなかったと外観を眺めながら感じたことを思い出す。

山の中に一軒ぽつんと温かみのある日本家屋に入ると、美しく丁寧に設えられた空間、この辺りには何もなく虫の音と夏の夕暮れ時の美しい空、それらを臨む縁側での時間は、ここから動くのが勿体なくて思う存分味わい尽くした。

お食事が出るまでの間、シンガポール人のリーさんが建物内を案内してくれた。私たちは軽いお食事を考えていたけれど、サービスしてくださった前菜のあまりの美味しさに、あれもこれもとプレオープンの特別メニューを楽しませていただいた。

チーズやピクルス、ブルスケッタなどどれも美味しく、さらに猪肉のスペアリブや三宿炒飯も絶品だった。

感動したことの一つが、これらのお料理をワインではなくお茶と組み合わせて提供してくださったこと。そのお料理にピッタリのお茶をご紹介くださり、リーさんがそれぞれのお茶の淹れ方も丁寧に説明してくださる。チーズに合うお茶との出会いは人生で初めてだったから、どれほど心が躍ったことか。

お茶とお料理のマリアージュに私は強く感動してしまい、シェフの森口さんにもお話を伺った時に、これまで都内のレストランに長年勤めていらっしゃり、その傍らでお茶の情報発信をされていたこと、DJをされたりピアノも弾かれたりと多様な活動の中で、料理も含めて何か一緒にできないかを考え、形にしようとしてきたと仰った。

点だったものが線になり、そこから繋がっていくご縁。
こちらにはまだ書けないけれど、音楽を含めた彼のプロジェクトはきっと近い将来始まるだろうし、そのお話を聞いて私たちもまた必ずここに戻りたい、そう思った。


時間をかけて人生を深めていくことの尊さに、静かに感銘を受けた日。
リーさんの優しさと純粋さ、そして美しい龍神村との出会いにも心から感動した日。


今、龍乃原を検索したら、当時プロジェクトの一つとして語っていらした龍乃原旅籠がオープンしていた!!

またお邪魔させていただきます。



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