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松島・円通院ガイドさんとの出会い 宮城県/日本一周の旅

日本三景のひとつ、松島。

群馬より北へ行ったことがなく、北陸も、中国地方も初めてだった私にとり、新しい都道府県に入る瞬間はいつも特別な気持ちと高揚感が漂う。

松島を訪れた時も、目の前に広がるキラキラと輝く太平洋、そして遠くに見える小さな島や松とのコントラストがあまりに美しくて息を呑んだ。



まるで絵画のような世界が目の前に広がっていて

今思い出しても心をあたたかくしてくれるくらい美しい場所。

その日はイベントが行われていて、着物のショーが開かれたり、松島公園では地元で採れた海鮮類の出店や地元のレストランの出店もあり賑わっていた。


牡蠣も帆立も絶品。係の方がとても優しくて親切。



そこに一台の、途轍もない大きさの消防車があった。
消防士さんから直接お話を聞く機会に恵まれ、津波大規模風水害対策車だと伺う。この中に水陸両用のバギーが入るのだそうだ。


隣の消防士さんと比べると大きさの想像がつくと思います

東日本大震災の後に開発されたもので、素晴らしい性能だけど出番がないといいんだけどねと話したりもした。

ずっと訪れたかった沿岸沿いや地域をクルマで走っていた時に、想像していたよりも復興が滞っているように私には感じられ、一方で不必要なことに税金が流れ使われていることに行き場のない怒りが込み上げ、
この現実を見てもっと状況を把握すべき人たちがいるであろう、それを踏まえて私に今できることは何か、改めて強く考えることに繋がった。
けれど、もっと早くに来るべきだったと思う。



その後、円通院へ。
お庭の美しさを堪能しているとどこからか声が聞こえてきた。

時々笑い声も聞こえてくるその集団の中心に、初老の男性がいて、ガイドをされていた。

円通院のありとあらゆる説明をしてくださり、伊達政宗の戒名のお話や、鎌倉からこちらまで当時1000人ものお坊さんが来て修行をされていたこと、あるアイドルが訪れた最近の話など多岐にわたり、語り口にも惹き込まれた。


真剣さと笑いに包まれるそのガイドさんのお話も終盤に差し掛かったころ、本殿の前で皆に向け、階段に座ってくださいという。
皆で一列になり座った。

そして、「今から大事な話をします。それは津波です」と。

実はずっと気になっていた。松島を歩いていた時に、私の背よりも高い場所に、津波浸水深ここまで、と書かれた標識を目にしていた。


そしてガイドさんは続けられた。参道途中まで津波は来たけれどそれ以上の被害は免れたこと。松島は幸いなことに津波の被害は少なく、観光客の方は全員近くのホテルや瑞巌寺へ避難され数日間を過ごされたけれど無事であったこと。

「あまりに大きな地震が来ると腰を抜かしてしまう人もいる、けれど腰を抜かしている暇はないから逃げてください。とにかく逃げてください。
東日本だけでなく日本のどこでまた大きな地震が来るか分からない。けれど地震が来たらすぐに逃げること、そしてみなさん生きてください。
絶対に、生き延びてください。」
と仰るガイドさんが文字通り命懸けで、命を懸けて伝えてくださるその姿に涙を堪えきれなかった。

当時都内で働いていた私には想像などとても出来ない経験をいくつされてきたのだろうか。
震災を乗り越えて今を生きる人々の強さ。それらはどれほど尊いことなんだろうか。


人のため、国のために、命を使って生きるガイドさんの姿にも心が震えた。
私たちが今、生きて呼吸が出来ることは、奇跡の積み重ねの上にある。

https://www.entuuin.or.jp/




◆イベントに出店されていた七ヶ浜にあるSEASAWさんの”のりだれ”を使ったパスタも絶品だったので写真は撮ってないのだけどリンク先だけこちらに残しておきます。リピートしたいし通販利用します。







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