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信玄〜身代わり〜


         原作、脚本  梵天彪雅

1572年10月
甲斐国 躑躅ヶ崎館

馬場信春『お館様、、、織田の青二才をいつまで野放しにするので、、』

武田勝頼『親父殿!寝てる場合か!甲斐の虎は此処でくたばっちまうのか!?』

武田信玄『…五月蝿いわい…おちおち寝ることも出来んわい……』

武田信玄『皆の者!勝頼を信玄とし、今すぐ出陣せよ!目指す敵は京におる足利義昭じゃ!』

バタン!   武田信玄が倒れる

武田勝頼『親父殿!!』

武田信玄『お前が信玄じゃ……天下を武田に…』

武田勝頼『ぐっ……ううっ』

武田信玄『昌景…信春、儂の死は3年隠せ…』

武田信玄『何をいつまでも泣いておる!山縣!馬場!儂こそが信玄じゃ!足利義昭の首を取りにいざ、出陣!!』


馬場、山縣『は…ハハ!』


1573年1月24日
武田信玄『まず、浜松城の兵糧を絶つ為に堀江城を奪う! 遠州灘の海賊を召し抱えよ!』

馬場信春『は…?ハっ!』

~                     ー〜ーーー
浜松城
徳川家康『な、なんじゃと!?堀江城が攻められておるじゃと!敵は誰じゃ!』

酒井忠次『恐れながら、、信じ難いのですが、、武田かと!』

徳川家康『な、武田には海軍はおらぬはずじゃ!!』

本多忠勝『しかし、このままでは我らの兵糧が!』

徳川家康『むっ!……堀江城の救援に向かう!出陣!』


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武田信玄『堀江城を攻めると家康めがこれを必死になって取り返しにくるでの……山縣!其方は宇津山城を攻め落としここより浜松城を攻めよ!』

武田信玄『徳川の小僧なんぞワシの手にかかれば一捻りよ……じゃが殺さぬ……味方に引き入れて、信長にも勝つ』

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徳川家康『半蔵!半蔵はおるか!』

服部半蔵『はっ!これに!』

徳川家康『貴様、前に信玄はもうすぐ死ぬと申したな!それはいつじゃ! 死ぬどころか全盛期以上に攻めておるではないか!まるで、別人のように!……別人……』

服部半蔵『別人ですか……あり得ぬことはありますまい…』

徳川家康『半蔵……ただちに武田本陣へ向かうが良い信玄が本物か暴いて参れ!』

服部半蔵『はっ!』

服部半蔵が舞台から観客席へ去る


徳川家康『忠次…甲斐攻めの準備をせよ…
今、攻めてきておる総大将が信玄でなければ
我らが勝つのは必定!』

酒井忠次『は!』

本多忠勝『織田に援軍はお頼み申しまするか…』

徳川家康『出来れば織田の力は借りたくはない今はな…』

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1573年1月26日

堀江城

大沢基胤『武田の軍勢なぞ海を知らぬ所詮は陸亀じゃ、この城は落とせぬて…』

近藤康用『大沢殿遠州灘の海賊どもが武田を載せておるようじゃ…いかがする!』

大沢基胤『舐められたものよ!舟を出せ!討ち取ってくれようぞ!』



土屋貞綱『我こそは武田家 お抱え海賊!
土屋豊前守貞綱なり!いざ、尋常に勝負!しょ……』

大沢基胤『この水軍に勝てると思うたか!
来るなら来い!』

土屋貞綱と大沢基胤の殺陣

土屋貞綱が泳ぐように逃げる

大沢基胤『徳川殿に堀江城は健在であることを伝えよ!我らも浜松城の軍勢に合流するとな!』

兵『は!』

宇津山城も遠州灘の海賊衆達に奇襲されたが堀江城の侵攻と同じく失敗に終わった

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兵『堀江城への武田侵攻、宇津山城への武田侵攻共に防いだようにござりまする!』

徳川家康『可笑しいのぅ……どう考えても可笑しい、、信玄にしては策略が甘すぎる…
半蔵からの知らせはまだか?』

本多忠勝『……未だ……』


徳川家康『ふむ…』

武田側脇に入ってくる


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兵『堀江城、宇津山城進軍共に失敗!』

武田信玄『して、家康はどこにおる……』

兵『浜松城から出陣し、今は三方ヶ原にいまする……』

武田信玄『土屋は生きておるのか?どこにいる?』

兵『は!刑部砦付近に軍勢を整えておりまする』

武田信玄『我ら武田の軍勢2万7千はそのまま三方ヶ原で徳川を挟撃する!餌に引っかかった徳川勢を揉み潰す!』

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服部半蔵 出現
服部半蔵『殿……今いる信玄は武田勝頼にございまする』

徳川家康『忠勝!貴様はこれより勝頼を相手せい!ワシは甲斐に侵攻いたす!』

兵『殿、武田の軍勢2万7千の軍勢が三方ヶ原になだれ混んでまいりまする!』


徳川家康『なんじゃと!』


武田側動く徳川側と対峙殺陣が始まる

夏目吉信『殿!早よう!浜松に!我こそは徳川家康じゃ!ワシのクビを取ってみせい!』

鳥居四郎左衛門『いや!ワシこそが徳川家康じゃ!』

田中義綱『ワシじゃ!ワシこそが徳川家康じゃ!』

成瀬藤蔵『殿、、ワシらが戦わんでも良い世を作りなされ、、、、ワシが徳川家康じゃ!』

鈴木久三郎『ワシじゃ!ワシが家康よ!』


武田勝頼『駄目な主に成り代わりワシが経を唱えてやろう……』

夏目、鈴木、成瀬、田中、鳥居、本多忠真、青木、中根
武田勝頼、馬場信春、山縣昌景の刃に倒れる

徳川家康が去る

徳川家康『すまぬ!』

兵『お館様!徳川の軍勢が甲斐に進軍しておるとのよし。』

武田勝頼『何?徳川の軍勢が甲斐に!
甲斐に戻る』

山縣、馬場『やむお得ますまい……ハッ!直ちに軍勢を甲斐に向けまする』

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徳川家康入場

徳川家康『やっと、、浜松城じゃ…』

兵『殿!殿!大事御座らぬか!』

徳川家康『すまぬ、ワシが至らぬばかりに…皆を死なせてしもうた……』

徳川家康泣く  


                          完

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