マガジンのカバー画像

極私的読後感

42
読後感をまとめてみました。
運営しているクリエイター

記事一覧

高坂正堯『国際政治』(中公新書):極私的読後感(42)

高坂正堯さんの「国際政治」を久しぶりに再読。私が国際政治学とか学んだ30年以上前には"国際…

スパイクマン地政学「世界政治と米国の戦略」:極私的読後感(41)

ニコラス・スパイクマン、という名前を知っている人は、なんとなくバックグラウンドがわかる。…

私たちはどこまで資本主義に従うのか:極私的読後感(40)

ミンツバーグ先生の本については、既にこのnoteでも読後感を取り上げたことがあり、かつ他にも…

民主主義の本質と価値(ケルゼン):極私的読後感(39)

この本は、昔は「デモクラシーの本質と価値」という名前で出版されており、法哲学とかそのあた…

幸福な監視国家・中国:極私的読後感(38)

本書は昨年(2019年)の8月に刊行されてから、大変話題になり、かつ其の後起きたコロナ禍への中…

成功する日本企業には「共通の本質」がある:極私的読後感(37)

菊澤研宗先生の本は、本書含めて4冊程読んでいる。『組織は合理的に失敗する』、『戦略の不条…

現場論(遠藤功):極私的読後感(36)

経営学、というか現場云々の本は、実は書店の棚に溢れている。まぁ、理論やノウハウはたくさんあれど、最も肝心な「実行」が誰も伴わないから、「この理論はもっともらしい」だの「このノウハウは使えそう」だの、やりもしない事ををグダグダ議論して「実行の手前」で終わってしまうので、「最新の理論」だの何だのが本になって、このように書店の「飯の種」になっているのである。 かくいう私も、そういう「飯の種」を際限なく「味わった」クチであるが、最近はあまり(というかほぼ全く)そういう本に手が出ない

マネジャーの仕事(ミンツバーグ):極私的読後感(35)

ミンツバーグ先生は、経営学者として一般的な知名度はあまり高くない。ドラッカーやポーターの…

史上最大の決断:極私的読後感(34)

ドワイト・D・アイゼンハワーは、"偉大なる平凡人"と言われ、軍歴として実戦の指揮官経験が無…

コンサルタントの秘密:極私的読後感(33)

ジェラルド・ワインバーグ(Gerald Marvin Weinberg)は、その洒脱な文体での著作の数々で、一部…

人民の戦争・人民の軍隊:極私的読後感(32)

ヴェトナムは、その軍隊の精強さで知られる。まだ仏領からの独立の戦い、インドシナ戦争(1946-…

校訂現代語訳 巴里籠城日誌:極私的読後感(31)

普仏戦争(1870~1871)は、ドイツの勝利によるドイツ統一が、欧州におけるパワーバランスを大き…

戦争概論:極私的読後感(30)

歩くというのは、脳に適度な酸素が行くようで(感覚的に)色々なことが解題されて思索が深まって…

高坂正堯―戦後日本と現実主義:極私的読後感(29)

過日読了した若泉敬の評伝につられて落手。戦中から戦後を原体験として持つ人が透徹した論理を獲得すると、それは強力なペンの力を得ることを改めて認識。 特に沁みたのは、現在の日本国憲法を制定した時には想定していなかったような環境に日本は置かれてしまったなか、高坂先生は 中立論が日本の外交論議にもっとも寄与しうる点は外交における理念の重要性を強調し、それによって価値の問題を国際政治に導入したことにある(p.62) として、中立論の意義は大いに認めておられたことだ。 しかし、冷