通貨する。
東京暮らしの長い友人とガールズバーに初めて行った。
露出多めの女性方に愛想よく相手してもらった。
夜の街には夜の街なりの言語文化がある。
相手の話を否定しない。相手にわかりやすい気遣いを見せる。相手の目を見て笑顔で話を聞く。
人としての基本が出揃っている。
人間社会は、夜の方から朝へと文化が流れている。夜が起点である。
ここまでの気遣をしてもらっておいてなんだが、やっぱり苦手である。
女性と話すと緊張するみたいな10代の頃の初心さではない。
こういう環境が明確に苦手なのだと悟った。
要はいい人すぎるのである。
お金を払っているから当たり前である。
でも、もっと人間臭いものが好きだ。
学生は教員に対して本音である。
時に嘘もつくし、問題の中心が見えていないが故の暴論も吐くが、
その嘘及び暴論も彼らにとっては本音である。
だからこの仕事が好きなのかもしれない。
そういえば、嫌いな物「嫌い」とはっきり言える人に憧れていたし、惚れていた。
かくいう自分は、家でも学校でも周りの人にビクビクしながら話していた。
それゆえの憧れだろうとも思う。
話は夜の街言語文化である。
お姉さん、それと話す常連さん、それぞれにマナーのような話題の振り方や答え方がある。
見事なやり取りは傍目に見て落語や講談のようである。
なんとなく、2.5次元と言われる声優の世界が近いように思う。
声優にキャラクターを付与し、人間臭いところを省いた世界。
あるいはメイドカフェのような。
まあ、とにかく、もっと人間臭い言葉が良いのである。
俳優を志望しながら働くガールズバー、
わざわざその裏側の人間臭さに触れるのは、マナー違反のような気がする。
しかし、こちらも30代として、それなりに見透かせるものもある。
今、財布に入っているお金はただの紙切れである。
その価値の根拠には、金があるとも、信用があるとも聞く。
夜で相手の人間臭さに切り込んでいいのなら、わたしも楽しめそうな気がする。でも、やっぱりマナー違反だろう。
見送ろう。
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