相手に気を遣い過ぎるアンパンマン


アンパンマンは、とにかく相手に気を遣います。ゲストキャラクターに対する態度を見れば、アンパンマンがいかに気を遣っているかが一目瞭然です。たとえば、ゲストと協力して敵を倒したときには「○○(ゲストの名前)のおかげです」というように、必ず相手に花を持たせるのです。しかしながら、気を抜いてはいけません。その花には「油断という名の毒」が含まれているのです。油断は慢心につながり、慢心は敗北を引き寄せます。アンパンマンが相手に花をもたせるとき、そこには「お前は徒花に終わるんだよ」というメッセージが込められているのです。油断ならないパンだこと。

ただ、これはアンパンマンの優しさと捉えることもできます。アンパンマンが異様に相手に気を遣う様子を見て「これは何か裏があるに違いない。あの人面パンが放つ甘言に惑わされずに、気を引き締めて職務にあたろう」と思う人もいます。その一方で「あのアンパンマンにこんなに褒められるということは、俺はやっぱり天才なのかもしれないな。ガッハッハ」と思う人もいます。前者は自己鍛錬に励むので少しずつ成長しますが、後者は慢心し切っているので1ミリも成長せずに終わります。同じ事象に遭遇したとしても、それぞれの捉え方によって、その後の展開は大きく変わるのです。

アンパンマンは誰にでも平等に接するので、つかみどころがありません。「そもそもつかむ必要があるのか?パン食い競争みたいに、そのまま頭にかぶりつけば良いじゃないか」という意見もあるでしょう。確かに、頭に直接かぶりつけば、手は汚れません。ですが、心は確実に汚れます。手の汚れは洗えば落ちますが、心の汚れは洗っても落ちません。汚れっちまった悲しみに小雪が降りかかるように、汚れっちまった心には軽蔑の眼差しが降りかかるのです。新しい顔ゆよーん。

たとえるならば、アンパンマンというのは、ファーストフードの店員のような存在です。マニュアルという壁でガチガチにガードしているので、本心がなかなか見えてきません。たまに本心らしきものを匂わせることはあるのですが、それに無思慮に飛びつくと、痛い目に遭うことになります。「プゥ」という音が聞こえたので「オナラするなよ~」と笑いながら相手に近づいたら、尻の実(便)が盛大に漏れ出していてたという感じでしょうか。尾籠な話で大変申し訳ありません。責任の所在は、かびるんるんにあります。




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