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肩の匂い


私は筋トレを日課にしています。身体を鍛える理由はとくにありません。テリーマンとタッグを組む予定もありません(現時点では)。筋トレをした後は、身体から様々な匂いが放たれます。場合によっては、鼻たれ小僧も放たれることがあるそうです。高速度で射出する鼻水は凶器になり得ます。くれぐれも用心しましょう。

人間であれば誰しも、肩から独特の匂いを発します。肩の荷が下りることはあっても、肩の匂いが落ちることはありません。悲しいですね。人生というのは、悲しさと共に進行します。なので、全ての生きとし生ける者は、悲しみを背負って生きていくのです。you’re gonna carry that weight.


腕立て伏せをゼル・ディンのようにひたすら繰り返していると、肩から火薬の匂いがします。「そんなアホなことあるわけないだろ。お前の肩はバルカン半島かよ」という意見もあるでしょう。半島ではありませんが、本当なのです。火薬の匂いを発する肩をそのまま放置した場合、通りすがりの花火職人に肩をもぎ取られる可能性があるので注意しましょう。


肩を材料に組み込んだ花火の威力は抜群です。四十肩や五十肩の痛みが吹き飛ぶほどです(火力で)。なので、肩を持て余している人は「肩花火」の材料として提供するのも良いでしょう。ただ、肩というのは基本的に返品不可です。なので、少し経ってから気が変わって、肩の返還を求めても後の祭りです。肩透かしを食わないように、くれぐれも注意しましょう。


夜空に高々と打ち上げられた肩花火は、それぞれの特色を存分に発揮します。「玉屋!」「鍵屋!」「肩屋!」という見物客の声が辺りに響き渡ります。肩屋の経営状況が気になりますね。右肩上がりになることを片手間に祈っております。

当然ですが、花火会場に散らばった肩の残骸はしっかりと回収しましょう。「家に帰るまでが遠足」という言葉もあるように「肩を拾うまでが花火」なのです。もうすぐ花火の季節が訪れます。肩の疼きと共に、華麗な花火を鑑賞しましょう。


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