見出し画像

カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かった


カツドンマンは、どんぶりまんトリオの構成員です。「黒豚お肉をパン粉で包み~♪」というたわけた歌を口ずさみつつ指パッチンをしながら登場します。指パッチンといえば『アベンジャーズ』のサノスを連想する人もいるでしょう。この映画では、サノスが指パッチンをすると、全宇宙の生命体の半分が消え失せるというシーンがあります。げに恐ろしや。カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かったですね。

その名の通り、カツドンマンの頭の中身はカツ丼です。てんどんまんと同様に、ばいきんまんにしょっちゅう中身を食べられています。ということは、丼の中はバイキンだらけということです。『バイキンまみれの丼』とタメを張れるのは『時計じかけのオレンジ』ぐらいでしょう。「この丼はバイキンまみれじゃない!おたくの店の衛生観念はどうなっているのよ!」と客に怒鳴られても、ナッドサット語を使えば上手くかわすことができます。最終手段はトルチョークです。スタージャでスパチカねんねする光景が目に浮かびます。

カツドンマンの一人称は「ミー」です。「吾輩はミーである」と言えば「あぁこの猫の名前はミーというのか。ダジャレと自己紹介を同時に行うとは大した猫だな。思い上がるんじゃねぇ」という反応が返ってくるでしょう。ちなみに、カツドンマンは当初、てんどんまんと同様に語尾に「ザンス」を付けて話していました。おそらく、カツドンマンとてんどんまんの間で「俺達はザンスを付けて話そうぜ!」という約束が交わされたのでしょう。学校のマラソン大会でよく交わされる「一緒にゴールしようね!」という決して守られない口約束と同じですね。実にほほえましい。

ただ、なぜかはわかりませんが、カツドンマンはザンスを付けて話すのをやめています。これはあくまでも想像ですが「人間をやめますか?それともザンスをやめますか?」という二者択一を迫られたのではないでしょうか。「うーん、ミーは丼だからそもそも人間をやめているし、だったら消去法でザンスをやめるしかないザンスねぇ」という葛藤の末に、断腸の思いでザンスをやめたのでしょう。ザンスはどこへ消えた?

おそらく、ザンスはカツドンマンの丼の奥底に眠っているのでしょう。「寝た子とザンスは起こすな」という格言が流布しているのはそのためです。カツ丼のフワフワのころもをベッドにして、ザンスは惰眠を貪っているのです。「カツ丼を貪り食うよりはマシでしょ」と言われたら、ぐうの音も出ませんけどね。ぐうの音が出るのは、お腹だけで充分です。ハラヘリヘリハラ、メシ食ったか?



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?