アンパンマンの顔へのダメージはパワーダウンに直結する


アンパンマンのことをあまり知らない人でも「顔が濡れて力が出ない」というセリフは聞いたことがあるでしょう。アンパンマンは、水に濡れたり、カビや泥で汚れたりすると、本来の力が出せなくなってしまいます。犬の鼻が濡れるのにも「匂いをしっかりと嗅ぎ分ける」という理由があるように、アンパンマンの顔が濡れるのにも「水も滴る良い男パンを演出する」という理由があるのです。前者は生存する上で欠かせない行為として、後者は人気を集めるための演出として分類することができます。「演出過剰である」という声には耳を貸しません。そもそもアンパンマンには耳がないので、貸しようがないのです。残念だなぁ。

アンパンマンは、顔が濡れても自己解決する能力があります。ただ日光に顔を晒して乾くのを待つ、というような安易な手段は取らないのです。というか、アニメの尺に収めるためには、そんな悠長なことはやっていられません。アンパンマンは、育ての親であるジャムおじさんには頼らずに、自らの知能をフルに活用してピンチを脱するのです。たとえるならば、旦那に知られる前に不倫相手と円満に別れるようなものです。かなり危険な綱渡りですが、落下せずに(バレずに)綱を渡り切れたときの快感は相当なものでしょう。これはクセになるぜ。

ただ、そんなアンパンマンも少しずつ変わってきています。近年では、顔が濡れても自己解決するのではなく「ジャムおじさんに知らせてくれ」と言うシーンが散見されるようになりました。アンパンマンのアニメが放送を開始してから、もう30年以上が経ちます。若い頃はなんでも自分の力で解決しようとしていたアンパンマンも「いつまでもこんなこと(自己解決すること)はできない」と悟ったのでしょう。いくらアンパンマンといえども、寄る年波には勝てないのです。なんだか切ない。

アンパンマンが他人に頼る姿を見て「アンパンマンもふぬけちまったな」と言う人もいます。その人の頭の中には、若い頃のエネルギッシュなアンパンマンの姿がこびりついているのでしょう。しかしながら、誰でも平等に年を取ります。それはアンパンマンとて例外ではありません。「年月の洗礼」からは何人たりとも逃れることはできないのです。若さはいつまでも続きません。アンパンマンはふぬけたのではなく、水に濡れてふやけたのです。そう、社会という名の冷たい水を浴びて・・・。

ちなみに、アンパンマンは顔(の一部)が損なわれると、その分だけパワーダウンするという性質を持っています。たとえば、顔の三分の一が損なわれた場合、パワーも三分の一ほど減少するのです。ただ、これはばいきんまんが独自に分析した結果なので、信憑性に欠けます。希望的観測もいくらかは含まれているでしょう。希望を持ったり願望を抱いたりすることは自由ですが、それらを行動の指針に盛り込んでしまうと、失敗する可能性が高くなります。そのことを肝に銘じて、アンパンマンという難敵に挑んでもらいたい。You’ll do great!



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