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ダイナミックトローリング


ムーミントロールは定期的に凄まじい行動を起こします。その筆頭が『ムーミンパパ海へいく』での一場面です。ムーミントロールが空き地に足を踏み入れると、何者かが尻尾に噛み付きました。その正体はアリでした。その空き地は先住民であるアリの大群が占拠していたのです。

普通の感覚だったら「先客がいるんだったら仕方ないな」と諦めるところですが、そこは尋常ならざる精神の持ち主であるムーミントロールです。武勇に優れた彼がおめおめと引き下がるわけがありません。ムーミントロールは「もしも百万匹のアリがこの空き地を好きだったとしても、僕がこの空き地を好きだと思う気持ちには勝てない」という自説を展開します。

要は「アリよりも自分の方がこの空き地を好きだと思う気持ちが強いから、この空き地は自分のものである」という得手勝手な主張です。もはや超理論ですね。測定不能なアリの気持ちを勝手に推測して、自分の気持ちと比較検討した結果、「我に軍配が上がった!」と意気揚々と勝利宣言をしているのです。処置に困りますね。

このような得手勝手な結論を前にしたら、もはやひれ伏すしかありません。この期に及んで何を言えましょうか。誠にアッパレな突き抜け具合でございます。尋常ならざる世界観を築き上げて我が道を行くのがムーミントロールです。「トロールの前に道はない、トロールの後に道はできる」という文言がムーミン谷の岩陰に刻まれているとかいないとか。ニョロニョロ。

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