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犬のおまわりさん慕情


『犬のおまわりさん』という童謡は、私達の脳ミソにしっかりと枷をはめています。その様子はまるで手錠をかけられた容疑者のようです。ただ、容疑者というのはあくまでも「犯罪の疑いをかけられている者」のことであって「有罪が確定した者」ではありません。そこの部分はしっかりと認識する必要があります。ちなみに、上記の犬の腕に巻かれているのは腕章です。もちろん、椀とワンをかけています。腕章と手錠はかけるためにあるのです。


犬のおまわりさんを描くときに、二足歩行の姿を採用しているケースがよくあります。ですが、現実に照らし合わせれば、四足歩行が自然な姿でしょう。そもそも犬というのは、二足歩行に適した身体構造ではありません。なので、犬が無理に二足歩行しようとすると、腰への負担が増大して椎間板ヘルニアになる可能性が高くなります。二足歩行と腰痛は密接な関係にあるのです。腰痛に悩んでいる人は、犬の腰の痛みまで引き受けている立派な人物であるといえます。頭が下がります(二足歩行の姿勢で)。


犬のおまわりさんがパトロールしている途中に、迷子の赤ちゃんに出くわすことがあるらしいです(伝聞)。その際に、四足歩行の犬は、同じく四足歩行の赤ちゃんと同じ目線で会話することができます。赤ちゃんには言葉が通じないので、視線レベルを同等にして、ノンバーバルコミュニケーションを試みるのが良いでしょう。ちなみに、パトロールの時間帯は深夜です。なので、当然の帰結として、深夜ハイハイということになります。図らずもなってしまうのです。


そもそも「ハイハイ」というのは「這い這い」という意味です。文字通り、地べたを這いずり回っているというわけですね。そして、ハイハイを英語にすると「高い高い」になります。なので、ハイハイには「地面を這う」という意味と「空高く舞う」という意味があるのです。Beatlesの名前の由来と同じですね。ビートルズという名前は「Beetle(カブトムシ)」と「Beat(拍子)」をかけあわせた造語なのです。Yes It Is.

街中を徘徊しているのは、赤ちゃんだけではありません。レアケースですが、赤べこを見かけることもあります。赤べこはお腹を空かせているので、腹ペコです。犬のおまわりさんにできることは、頭の上に載せているドッグフードを分け与えることだけです。アンパンマンであれば、顔面の一部をちぎって与えることができますが、ただの犬にはできません。これがアンパンマンとオマワリサンの差です。


赤べこ以外では、赤鬼が徘徊してることもあります。赤鬼はギャンブルで大損したのか、号泣しています。俗に言う「泣いた赤鬼」ですね。「泣きっ面に蜂」ならぬ「泣きっ面に鬼」です。「鬼の目にも涙」ということわざを持ち出すまでもなく、無慈悲であり怜悧冷徹な存在である鬼も、ときには涙を流すのです。そんな鬼には、餞別として『涙の乗車券』をあげましょう。My baby don’t care.


ただ、犬のおまわりさんが相対することができるのは「泣いた赤鬼」だけです。市販の『鬼対策マニュアル(別名:鬼平犯科帳)』を一読すればその理由がわかります。「泣いた赤鬼」は泣き崩れているので、明らかにパワーダウンしています。ですが「笑っている赤鬼」は上機嫌なのでパワー全開です。まさに「鬼に金棒」状態です。「犬に警棒」状態の犬のおまわりさんとは雲泥の差があります。笑っている赤鬼に遭遇したら、脱兎もとい脱走犬のごとく逃げ去りましょう。三十六犬逃げるに如かず。


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