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どんぶりまんトリオはエリート


どんぶりまんトリオ(てんどんまん、カツドンマン、かまめしどん)は、丼物の三人組です。冴えない風貌をしていますが、彼らはたくさんの丼の中から選ばれたエリートなのです。言うなれば「エリーどん」ですね。彼らは当初、ただの端役に過ぎませんでした。ですが、不思議な力学が働いて準レギュラーに昇格したのです。もちろん、この程度で満足する彼らではありません。レギュラーの座を虎視眈々と丼の蓋を開けながら狙っているのです。わんこそばのようにお椀に蓋をして終了させましょう。

どんぶりまんトリオの躍進ぶりを見ていると、ワン・ダイレクションを連想せずにはいられません。ワン・ダイレクションのメンバーは、イギリスのオーディション番組にそれぞれソロ候補としてオーディションを受けたのですが、いずれもコンテストの最終段階で脱落してしまいました。ですが、グループ部門の出場資格を得た後に、5人でグループを結成してデビューにこぎつけたのです。その後の活躍ぶりはご存じの通りです。瞬間最大風速では、21世紀のアーティストの中でもトップクラスでしょう。「ビートルズの再来」と呼ばれたのも頷けます。Fab FourならぬFab Fiveですね。

話が逸れました。どんぶりまんトリオの3人は負けず嫌いであり「誰の丼物が一番おいしいか」でいつも喧嘩をしています。ご苦労なことですね。人の好みというのは千差万別なので、一番を決めることは難しいです。とくに食べ物の好みとなると、それぞれの人が「それぞれに好きな味」を持っています。ペニシリンの味が好きな人もいれば、関東ローム層の火山灰の味が好きな人もいます。アンタ達、変わってるわねぇ。もっとマシなものを召し上がりなさいな。

ただ、どんぶりまんトリオは、ケンカばかりしている無頼の徒ではありません。彼らは皆、自身の料理の腕に並々ならぬ自信を持っています。『ザ・シェフ』の味沢匠を連想せずにはいられません。味沢匠はフリーの料理人であり、パリの最高級ホテル「リッツ」で史上最年少でコックを勤めた経歴を持っています。彼は「幻の料理人」と呼ばれているが、存在感が希薄だったり身体が半透明だったりするわけではありません。デューク東郷とブラック・ジャックを掛け合わせたような容姿の彼は存在感バツグンです。どんぶりまんトリオには、味沢匠のような孤高のシェフを目指してもらいたいですね。私は孤独のグルメに邁進します。俺は腹が減っているだけなんだ。



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