2015年11月後半 『がんと闘った科学者の記録』を読む

2日ほど熱が続いたあと、平熱にもどり出社。
私の入院前後の上司の言動について、同僚と話す。自分の病気のことになると涙が勝手に出てきて自分で困惑する。
別の同僚からはメールをもらったり、お茶をもらったりした。

上司に対する自分の気持ちの動き方が激しく、がんになったことで、自分で思っている以上にダメージを受けているのだと感じた。そのことは自覚しておかないといけない。

11月20日(金)
出社すると、上司が昨日までと打って変わってふつうに挨拶し、話しかけてくる。うれしいできごとがあったのだそうだ。

『がんと闘った科学者の記録』(立花隆、戸塚洋二)を少しずつ読み進める。
物理学者であった故・戸塚洋二のがんの詳細で客観的な記録を元にした著作。共著者である立花隆もまたがんの治療を続けている。
いわゆる「闘病記」的なものは読みたいと思わなかったのだけれど、以前テレビで見て気になった二人の著作だったので買ってみた。
戸塚が医師からデータをとりよせて自分のがんの状況を詳細に分析する箇所は科学者としてのこの人らしさが表れた部分なのだろう。
草花を愛でる箇所など、共感する部分がときどきある。
がんが見つかったと告げる電話を受けた日の空の青さ、退院後に毎日通った道のハナミズキの実の赤さと艶、そういったものに見とれるような感覚が私にもある。17,18歳からそういう感覚はあったけれど、より切実というか、より大切に思う感じ。

がんを経験して、自分が死ぬときにどんな感覚になるのだろうという問いもよりリアルなものになった。
自分がいなくなったあとの家族(特に母、ついで父)に、私の不在を埋めるために生きているうちにどんなことばをのこせばいいのだろうか、ということもすごく考えたし、そのことを考えると本当に悲しく、悔やまれた。
まだ死ぬわけじゃないのに、おかしい。
退院後のここのところの不調でつくづく感じているが、体も心も、まだまだエネルギーが足らない。どうすればたまるのかな。休息・休養だろうか。人と会えばいいのか。

夕食は、夫と近所の小さなイタリアンレストランMで。好きな店でよく行っていたが、退院後は初めて。
タバコをめぐって腹を立てた客が、注文したピザはもういらないから会計してくれと帰ってしまい、焼き上がったピザは私たちと隣のテーブルの2人組でもらうことになった。
怒りを全身に浴びたような状況の店員の女性が気の毒だった。

11月21日(土)から3連休は自宅で過ごした。
疲れやすいので、掃除や近所のでの買い物のほかは、ほぼ自宅にいた。すぐに眠くなり、うたた寝。

11月30日(月)
同僚が退職。最後の時期、まともに一緒に働けず残念だった。

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