2015年9月 異変に気づく

舌にできものを見つけたのは、2015年9月上旬。
正確な日付はわからないけど、最初に「なんだこれ?」って思ってからきっちり2週間待って、やっぱり変だと思って地元の病院の受診を決めたのが9月21日の夜だったから、逆算するとそうなる。
9月21日はシルバーウィーク中で、母とはとバスに乗るために実家に泊まっていた日。ネットでヒットした「白板症」の説明を読んで、これはまずいかもと思い、すぐに同僚たちに「連休明け、病院行ってから出社します」というメールを送ったので覚えている。

地元のクリニックを受診後、大学病院で組織検査した段階で、万が一に備えて、異変に気づいて以降のトピックを当時の手帳にメモしていた(そこからの引用部分は太字)。

・9月初め〜中旬
口内炎が前歯の舌の歯茎の最下部(歯ぐきと唇方面につづく柔らかい部分との境目くらい)にでき、そのときに、舌の左側面、下側あたりのできものに気づいた。
家族(夫、母)には、口内炎でしょ・・・と言われたが、明らかにかたくて、質感が(口内炎とは)違っていたので、2週間くらい待って変わらなければ病院に行くことにする。

・9/21(月)
どうも変だと思い、連休明けに近くの病院へ行くことにした。

できものの「質感が違っていた」という点について。

これまで経験した口内炎のほとんどは、いわゆる「アフタ性口内炎」だった。白い潰瘍状で、とにかく痛くてしみる。今回の舌のできもの(舌がん)に気づくきっかけになった口内炎もこれだった。アフタ性口内炎は舌にできた記憶はなくて、たいてい歯ぐきか、口内のやわらかい肉の部分にできてきた。
次に多いのが、赤くて少しぼてっと腫れる感じので、これも痛い。これは舌の端っこにできることが多かった気がする。
他の人はどうなんだろうか。
あと、口内炎とは違うけど、無意識にかんでしまった後なのか、白くなったうすい皮膚片がとれることもたまにあった。

今回のはそのいずれとも違って、
・白い
・かたい
・大きさは小豆くらい
・痛みはない
・質感はぼそぼそとけばだった感じ
・いじってもとれない(皮膚片が少しくらいとれるかなと思ってつまんでみたけどとれなかった)
というもの。
特に、ぼそぼそと、けばだったような独特の質感に「こんなの見たことないな・・・」と嫌な感じがして、病院に行くまでの間、夫に何度も「これ変じゃない?」と聞いていた。痛くないこと、かたいことも気になった。

私は、舌のできものをながめては何度も家族に「変じゃない?」と聞くくらいには心配性というか、いつも悪い想定が先立つのに対して、夫はわりと健康には無頓着な方だと思う。私のできものをちらっとみて「口内炎じゃない?」と言い、その場でネットで調べて「2週間経っても変わらなかったら病院行けってことみたいよ」と言っていた。
この時点で、私は明確な病名までは想定していなかったけど、「今まで見たことがない変なものができている」という思いが強く、なぜか意地になって「絶対変だと思うけど、じゃあ2週間経っても変だったら病院行く!」と2週間待つことにしたのだった。さっさと病院行けばよかったのに。ふだんだったらすぐに行ってたと思うけど、怖さがあったんだろうか。

この時期、実家に帰った際に、母にもできものを見せていた。
母は、長年美容師として働いていて、いろんな病気の人と会ってきているので、母なら私のこの「あれ?」っていう嫌な感覚にぴんとくるかなと思ったけど、母もまた「口内炎じゃない?」という反応だった。
自分が変だと感じる、その感覚は大切にした方がいい、と思う。

病院を受診するまでの2週間、「舌 白い できもの」「舌 白い かたい」とかでよく検索していた。
口内炎についで、舌がんや白板症にもヒットした。
舌がんの写真のどれを見ても私のできものとは違ったのだけど、白板症の写真で私のできものとよく似た状態のものがあった。「2割程度に前がん病変が見られる」という記述を見て、「これはまずいかも。診てもらわないと」と確信をもったのだった。

今から思うと、自分でもおかしいというか、そんなに不安だったのかと思うことがある。不安は的中してしまったわけだけれども。
9/22(火)に母とはとバスに乗ったときのことだ。
母とゆっくり出かけるのは本当に久しぶりで、実家の引っ越しを無事に終えた慰労会も兼ねて、バスに乗って東京タワーや短時間の東京湾クルーズに行った。
晴天でとても気持ちよかったのだけど、母と私の二人の写真を1枚も撮らなかった。
もしも悪い病気が見つかって最悪の場合、「あのときは楽しかったね」「何年ぶりかでゆっくり出かけたのが最後になっちゃったね」「いい笑顔だね」などと写真を見ながら家族は振り返るだろう。そんなのまっぴらだという思いがあったので、ふだんだったら写真撮ってたなという場面でも撮らなかった。

・9/24(木)
地元の歯科クリニックに朝イチで言ったが予約でいっぱいだった。

ネットで白板症を調べると、口腔外科を受診するようにとあった。
地元には口腔外科を掲げている歯医者が2軒あったが、たいした根拠はないながらも、家のすぐ近くで1回だけ行ったことのあるHクリニックに行くことにした。この選択は結果的にはよかったと思う。

連休明けのこの日は、予約なしで行ったら予約がいっぱいで診てもらえなかった。
受付の人に「どうされました?」と聞かれたので、「舌の側面に白くてかたいできものができているので、診ていただきたいと思って」と伝えると、医師に伝えてくれた。「よければ明日でもいらしてください」と言われ、翌朝の予約をとって出勤した。
あのとき受付の人が聞いてくれて、それを聞いた医師が「明日来て」と言ってくれたことに感謝している。

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