2015年10月 自分の病気について調べる

次は病気について調べた。

たしか「舌がん」「治療」などで検索して、いろいろ見たと思うけど、国立がん研究センターがん対策情報センターの「がん情報サービス」を熟読した。
がん情報サービス http://ganjoho.jp/public/index.html

「がん情報サービス」は、それぞれのがんと治療についての説明のほかに、がんと言われたときの本人の考え方とか、家族やまわりの人の考え方も載っている。診察にはどんな準備をしたらいいかとか、仕事のことはどうするかとか、細やかに触れられていて、「今この世にいる人も、そうでない人も、いろんな人の知恵が寄せられて作られているページなのかな」と思って読んだ。

そもそもがんはどういう病気でどういう治療法があるのか、舌がんがどういう病気でどういう治療方法があるのか、どういうことに気をつけて診察・治療に臨んだらいいのか、などを重点的に読んだと記憶している。

当時は目に入ってきていなかったけど、今改めて「がん情報サービス」を読むと、臨床試験のこととか、病院検索とか、充実している。具体的に役に立つページだと思う。

この時点では、できるだけ客観的な情報を収集したかったので、ブログのたぐいは読まなかったはず。(その後も、2016年4月現在までで読んだのは3件くらいだと思う)

「がん情報サービス」を参考に、明日Hクリニックで聞きたいことを書き出したり、自分はどう考えるのか(病気や治療に対する姿勢、家族に望むこと、他の人に望むことなどなど)を書き出したりした。

医師への希望
・自分の状況は正確に把握したい。いいことも悪いことも詳しく教えてほしい。
・おすすめの本やサイトがあれば教えてほしい。ちゃんと勉強したい。
・「確率は**%くらい」など正確に伝えてほしい。「たぶん大丈夫」「たいしたことないでしょう」的なものはやめてほしい。自分も家族も一喜一憂するから。

ノートにはこう書いてあるけど、こういうことを医師に面と向かってきちんと伝えることはできなかったな。医師の前だと、緊張するというか、立場が弱いような感じがしてしまう。気の弱さが出てしまうというか。
ただ、こういう気持ちを持ちながら、診察に臨んではいたと思う。

家族への希望
・気休め、励まし不要
・悲しまないでほしい(ムリだけど)、ふつうにしてほしい
・泣きたいとき、つらいときは、そのままにしといてほしい
・夫とは、病気、治療について情報を共有したい

他の人への希望
・伝えたい人には自分で伝えたいので、言わないでほしい。
・見舞いはこないでほしい(来てほしい人にだけ来てほしい)。気をつかうから。弱ってるところを見られたくない。がっくりさせたくない。同情もされたくない。
・気休め、はげまし不要。ふつうにやってほしい。笑えた方がラク。病気のこと聞かれるのはOK(たぶん。言いたくないことは言わない)
・こちらから聞かない限り、おすすめ治療法とかの情報不要。「これ食べると治る」的なものも不要。

これらの部分はその日のうちに夫に伝えた。夫は「わかった」「あなたの希望を最優先で」みたいなことを言っていたと思う。
今読んでも、ふだん考えてきたことが凝縮されていたと思う。
「この病気は“私の”病気」「この病気と向き合うのも、治療を受けるのも、他の誰でもない私」「余計なことに気をつかわずに治療に集中したい」という気持ちが芽生えていたと思う。その気持ちは今も変わらない。

自分で考えること
・どう治すか:最重要
・どう生きるか:先のこと考えすぎない、本を読む
・誰に伝えるか:伝える意味は?
 メリット:共有できる ⇔ デメリット:心配かける、同情される
 母、兄、父:知らせないわけにはいかない
 夫の両親:知らせないわけにはいかない
 弟夫婦:伝えるなら、自分or夫からにしたい(正確に伝えるため)
 同僚:拠点内の同僚は迷惑かけるから基本的にはすべて伝える
 友人:いったん保留
・治療・入院のお供:読んでない本、難病闘病中の知人のオススメなど
・日記どうつけるか、公開するか否か:吐き出したい気持ちをどうするか。伝えたいのかどうか。

「先のこと考えすぎない」は今の自分にも声を大にして言いたい。先のことを考えすぎると、たいてい不安になるから。
日記のことを考えていたなんてすっかり忘れていたな。ここからしばらくの間は、その日起きたことを記録しておくので精一杯だったと思う。

口の中のがんについては、どうも「予後がよくない」というか、どういうわけか、わりと死ぬようなイメージがあったので、自分がそれに見舞われたという衝撃は相当に大きかった。
自分のがんの状態がどの程度なのか、ほぼまったくわかっていなかったこの時期が、「がん」ということばのイメージに一番やられてしまっていたかもしれない。

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