ひとりで食べる幸せを。
ご飯を食べるのが好きだ。
ご飯を食べていると、じんわりと体が温かくなって、「なんだか平和だなあ」なんてことを考えたりする。たぶんこういうのを、幸せを感じているって言うんだろう。アレが幸せ!、コレは不幸!、なんていちいち考えたりしていると疲れちゃうから、私は普段からそんなことは考えないようにしているんだけれど、ご飯を食べているときだけは、例外。
といっても、ご飯を食べていれば、いつでも幸せを感じる、というわけじゃない。大抵は、1人でご飯を食べているとき。自分で決めた店に入り、わくわくとする胸を抑えながらメニューを眺め、そして意を決して注文……。やっと届いた料理を頬張り、自然と顔が緩む。そんなときに、ふと「平和だなあ」という気持ちが降りてくる。
漫画「孤独のグルメ」にこんな言葉がある。
いい言葉だなあ、と思う。
こんなにも私にとっての幸せを言葉にできている文章は、これ以外に、私は知らない。
世の中には、みんなでご飯を食べる方が幸せ!みたいな風潮があるけれど、私は断然「孤独のグルメ」派。1人で静かに食べている方が豊かさを感じるタイプで、逆にみんなでわいわいと騒がしく食べるのは、むしろ苦手。話すのも、聞くのも、食べるのも、全部中途半端になってしまって、なんだか食べた気がしないのだ。
今日も実は、職場の食事会に誘われていたのだけれど、しっかりと断った。
ちゃんと断ることができた私はえらい、と思う。
昔から断ることが苦手で、いままで食事会や飲み会などには参加していたんだけれど、去年あたりから自分の意見を出して断ることができるようになった。「こんな機会ないから、もったいないよ」とか「来た方がいいよ」とかそのたびに言われたりもしたけれど、それでも私にとっての幸せは、その方向にはないのだ。
周りの人がどう言っていたとしても、自分の意見を言うことは、やっぱり難しい。ときどき流されそうになるし、今回の食事会も参加しそうになってしまった。そうやって自分の心を裏切ってしまうことが、不幸への階段の一歩一歩になってしまうのかもしれない。そんなときは、上の「孤独のグルメ」の台詞を思い出すようにしよう。
なんてことを、カフェでサンドイッチを頬張りながら、ぼんやりと考えている。
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