世界の名ボクサー:ジェームス・バスター・ダグラス③ラスト「史上最大級の番狂わせ男」

世界ヘビー級王者。世界王座の初防衛戦&その後。イベンダー・ホリフィールド戦、トニー・ラ・ローサ戦、ロッキー・ペペリ戦、ルー・サバリース戦ほかを紹介します。

ジェームス・ダグラス(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①イベンダー・ホリフィールド 3R KO ジェームス・ダグラス
(WBA・WBC・IBF世界ヘビー級タイトル戦、1990年)
(ダウンシーン)
3R:右ストレートでダグラスがダウン
(感想:ホリフィールドがタイトル獲得。マイク・タイソンを強烈なパンチでKOした王者ダグラス。人生が一変。「地元のヒーロー」となり、チャリティ活動に参加したり、WWFプロレスでレフェリーをやったり(チャリティ活動として「恵まれない人」のためWBCベルトをオークションで売却したという。世界王者が何よりも大切にするベルトを売ってしまうというのは何やら不吉な未来を暗示しているような気がする)。挑戦者ホリフィールドは「ヘビー級最後の大物」。世界クルーザー級王座を統一。王座を返上し、ビッグマネーが得られるヘビー級へ。ジェームス・ティリス、ピンクロン・トーマス、マイケル・ドークス、アディルソン・ロドリゲス、アレックス・ステュワートといった実力者を葬り、いよいよタイソンの世界ヘビー級王座に挑戦といった状況に。しかし、タイソンに待たされてしまう。そして、東京ドームでタイソンがダグラスにまさかのKO負け、王座陥落。ターゲット変更。ダグラスに挑戦。しかしながら、残念な出来事が。計量でダグラスは重い体重。速いジャブ、ストレートが武器のダグラスが絞れていない身体。それがどんな結果をもたらすか? ラスベガス「Mirage」で行われた一戦(キャッチフレーズは「真実の瞬間」。特別リングアナウンサーとしてシュガー・レイ・レナード。レフェリーはミルズ・レーン)。ジャブを打つダグラスだが、得意の右ストレートが少ない。ホリフィールドは上体でリズムを取りながらダグラスの動きを読む。3R、ダグラスが不用意に出した右アッパー(これも得意パンチなのだが)をかわして、ホリフィールドが右ストレート一撃。ダウンしたダグラスは立てず、KO。ホリフィールドがワンパンチでアッサリ新王者に。戦前は不利の予想もあったが楽勝。ダグラスはやっぱり体重が重かったか。言うまでもないことだが、「名勝負」は互いにベストコンディションで戦って初めて生まれるもの。この試合は残念ながら計量の時点で終わっていたようだ。その後のホリフィールドは説明不要。素晴らしい一発でダグラスから王座を奪取したが、「ナチュラルなヘビー級選手(ジョージ・フォアマンら)」相手に苦戦。しかし、その都度ビルドアップして難敵を攻略。リディック・ボウ、マイク・タイソンを世界戦で負かした。)

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