世界の名ボクサー:レイ・マーサー④「無慈悲なパワーのヘビー級」

WBO世界ヘビー級王者。厳しい再起ロード。トニー・ウィリス戦、マーク・ウィリス戦、ジェシー・ファーガソン戦(再戦)、イベンダー・ホリフィールド戦ほかを紹介します。

レイ・マーサー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①レイ・マーサー 1R KO トニー・ウィリス
(ヘビー級戦、1993年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレートで3度、ウィリスがダウン
(感想:これまで20勝(15KO)2敗のマーサー。ジェシー・ファーガソンに敗れて世界戦線から後退した状況。ウィリス戦はその再起戦(プロ23戦目)。ウィリスは21勝(16KO)6敗の中堅選手。イリノイ州の黒人で、元々はライトヘビー級の実力者。デビューから連勝で北米王座を獲得、防衛。デニス・アンドリュースと空位のWBC世界ライトヘビー級王座を争ってTKO負け、初黒星。オーリン・ノリスに敗北、カリフォルニア州王座(ヘビー級)獲得。このところティム・ウィザスプーン、ライオネル・バトラー(カリフォルニア州王座、IBO王座戦)に二連敗中。ミシシッピ州ベイ・セント・ルイスでの一戦。柔らかそうな筋肉をしているウィリス。マーサーは金色トランクスで、表情や身体に威圧感がある。互いにジャブ。足を使って距離を取るウィリス。バタバタした動きで、逃げているように見える。そんなウィリスを正確なジャブで追うマーサー。強烈な右ストレートでダウンを奪う。フィニッシュしようとするマーサー。ホールドで対処しようとするウィリス。さらに右ストレートで二度ダウンを追加して試合終了。格下には鬼のように強いマーサー。その勢いが実力者相手のときにも出せればよいのだが。一方、何もできなかったウィリス。ヘビー級で通用するパワーがない。これが最後の試合となった。)

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