世界の名ボクサー:マックス・ベア②ラスト「女性に人気だった明るいキャラ」

世界ヘビー級王者。世界王座防衛戦&その後。ジェームス・J・ブラドック戦、ジョー・ルイス戦、ルー・ノバ戦(初戦・再戦)、トニー・ガレント戦ほかを紹介します。

マックス・ベア(アメリカ)
身長189cm:オーソドックス(右構え)

①ジェームス・J・ブラドック 15R 判定 マックス・ベア
(世界ヘビー級タイトル戦、1935年)
(感想:ブラドックがタイトル獲得。「巨人」プリモ・カルネラをKOして世界ヘビー級王者になったベアが初防衛戦に挑む。しかしながら、不安材料。元々、遊び好きで練習嫌いのベア。しかも、器用なタイプではない。にもかかわらず王座獲得後、トレーニングをサボりがち。エキシビションのリングには上がったが、本格的な試合はこれが一年ぶり。挑戦者ブラドックはニューヨーク出身。デビューから好調だったが、トミー・ローランの世界ライトヘビー級王座に挑戦して判定負け。以後は勝ったり負けたり。ただ、試合数が多く、経験は積んでいる。また、このところ連勝中でもある。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。両選手リングへ。ベアのトランクスにはおなじみ「ダビデの星」。ゴング。攻めの姿勢のブラドック。ジャブ、そして右ストレート、フック。右パンチに自信があるらしく、前進して右ストレート、右フックを特に狙う。ただ、フックの打ち方はガチャガチャしており器用なタイプではない。ベアはいつものように左のガードを下げた構えからジャブを出すが「エンジンがかからない」といった試合ぶりでジャブを食う。また、得意の右パンチ(得に大振りの右フック)を巧くかわされてしまう。8R、おどけた態度を見せるベア(優勢であればともかく、劣勢の時にやるとカッコ悪い)。終盤、ブラドックが右ストレート、フックで優勢。ベアの攻撃は単発に終わる。15R、ベアのフックがヒットするが、ブラドックの右もヒット。15R終了。3-0でベアが王座陥落、初防衛ならず。動きのキレがサッパリだったのが敗因。練習不足の選手に厳しい「ボクシングの神様」に背を向けられてしまった。ブラドックはそれほど良い選手ではない。互いに不器用なところがあったが、ブラドックはベアの特徴をよくつかんだうえで試合に臨んだのだろう。この勝利にマスコミはブラドックを「シンデレラマン」と呼んだ(この試合は2005年に伝記映画『シンデレラマン』として再現。ただし、ベアの性格が描写されているシーンは実際とは異なる「誇張されたもの」という評価。「悪役」としてベアは描かれてしまった)。世界王者になったブラドック。初防衛戦でジョー・ルイスにKO負け。再起戦に勝利してそれが最後の試合に。)

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