世界の名ボクサー:マイケル・スピンクス①「スラム街出身の二冠王」

世界L・ヘビー級、ヘビー級王者。世界王者になる前の試合。エディ・ベンソン戦、ジョー・ボーデン戦、ラモン・ランケリョ戦、マレイ・サザーランド戦ほかを紹介します。

マイケル・スピンクス(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)

①マイケル・スピンクス 1R KO エディ・ベンソン
(L・ヘビー級戦、1977年)
(ダウンシーン)
1R:ワンツー、右アッパー、ワンツーで3度、ベンソンがダウン
(感想:ミズーリ州セントルイス出身のスピンクス。兄レオンと共にどうしようもないスラム街で生まれ育った(スピンクス「刑務所みたいな町だった。自分で努力して町を出るか、そこでいつか殺されるかのどちらかを選ぶ必要があった」とのこと)。その環境から抜け出すためにボクシングを始める。アマチュアでは意外なことに当初は思うような試合ができず、なかなか勝てなかったらしい。しかし、次第に実力を付けていき、モントリオール・オリンピックに出場。それほど期待されていなかったらしいが、ミドル級で金メダル(兄レオンはL・ヘビー級で金メダル。さらにプロではモハメド・アリを破って世界ヘビー級王者に)。ベンソン戦はプロデビュー戦。ベンソンはフィラデルフィアの選手だが、詳細は不明。アーニー・シングレタリー(トーマス・ハーンズに判定負け、IBF世界スーパーミドル級初代王座決定戦に出場して判定負け)に判定負けの記録がある。ラスベガスでの一戦(TV解説席にはヘビー級のタフ男ジェリー・クォーリー)。20歳のスピンクス。相手よりかなり背が高いが、「スリム」というより「やせている」身体付き(「アマチュアのメダルでは食っていけない」とよく言われるが、「本当に食べてないのか?」というぐらいの細さ)。ガードを上げてジャブを連打するスピンクス。ベンソンは相手を警戒して距離を取る。ワンツーでベンソンがダウン。接近戦。破れかぶれのようにベンソンは大振りの左右フックで抵抗し、スピンクスも負けじとワンツーからの左フックといった連打。右アッパーでベンソンが二度目のダウン。立ったが、再びワンツーで三度目。立ったが、試合ストップ(レフェリーの措置がわかりにくかった。ストップするならそうだとわかるゼスチャーをすべき)。スピンクスがまず一勝。相手は基本ができていないような選手だったが、スピンクスは大振りのパンチをもらわなかったところも良かったのではないか? ベンソンはその後、二連続KO負け。どうやら「かませ犬」だったようだ。)

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