世界の名ボクサー:ロベルト・デュラン⑨「パナマの ”石の拳”」

世界四階級制覇王者。実力者とマイナー王座戦。ビニー・パジェンザ戦(初戦・再戦)、レイ・ドメンジ戦、ヘクター・カマチョ戦(初戦)、マイク・カルバート戦を紹介します。

ロベルト・デュラン(パナマ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

①ビニー・パジェンザ 12R 判定 ロベルト・デュラン
(IBCスーパーミドル級王座決定戦、1994年)
(ダウンシーン)
5R:右ストレートでパジェンザがダウン
(感想:パジェンザがタイトル獲得。似たようなタイプのベテラン同士の対戦。デュランは全盛を過ぎたが、戦いたい。パジェンザはまだまだ精力的。いずれも戦う意志にあふれている。パジェンザはロードアイランド州出身の好戦的な白人。子供の頃からスポーツ好きで7歳の時にボクシングを始める。本格的にボクシングに打ち込むキッカケとなったのは映画『ロッキー』(パジェンザはイタリアの血も入っているとか)。アマチュアで優秀な成績(タイトルを獲得したことも)。プロではグレグ・ホーゲンとの抗争が有名で、ホーゲンからIBF世界ライト級王座獲得。リターンマッチで王座を奪われてからは苦難。WBC世界J・ウェルター級王座挑戦でロジャー・メイウェザーに敗北。ヘクター・カマチョのWBO世界J・ウェルター級王座挑戦も失敗。ロレト・ガルサのWBA世界J・ウェルター級王座挑戦ではエキサイトして反則負け。そして、ジルベール・デレをTKOで下してWBA世界J・ミドル級王座獲得、二階級制覇。しかし、この男はどこかツイていない。交通事故で首を骨折。防衛戦を行うこともなくWBA王座返上。本来なら再起不能なところカムバック。IBOのスーパーミドル級王座を獲得するなどカムバック後、連勝。そして、このデュランとの対戦。どんな試合となるか? ラスベガス「MGM Grand」での「IBC」なる団体のベルトを懸けた元世界ライト級王者同士の一戦(大会場に多くの観客。リングサイドでは美人のおねえさんが熱狂的にパジェンザを応援。ファンが興味を持てば「IBC」のタイトル戦でも会場がいっぱいになる。WBAとかWBCなどという既存の老舗団体に価値を置くことは古い、と思わせるような興行だった)。ジャブを出すデュラン。しかし、フックが手打ち気味。パジェンザはアグレッシブに動いて連打。4R、パジェンザがロープをつかむいつものクセをレフェリー(ジョー・コルテス)に注意される。5R、左ジャブからの右ストレートがカウンターとなってパジェンザがダウン。しかし、全体的にはパジェンザの方が手数が多く、精力的。12R終了。判定は3-0。デュランは判定に不満そうだったが、個人的にはもっと右ストレートを打って欲しかったところ。両者は後、再戦。)

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