世界の名ボクサー:ジョー・ルイス⑥「”人類の誇り”と呼ばれた男」

世界ヘビー級王者。世界王座25連続防衛。戦後のカムバック戦&苦闘。ビリー・コン戦(再戦)、タミ・マウリエロ戦、ジョー・ウォルコット戦(初戦&再戦)を紹介します。

ジョー・ルイス(アメリカ)
身長187cm:オーソドックス(右構え)

①ジョー・ルイス 8R KO ビリー・コン
(世界ヘビー級タイトル戦、1946年)
(ダウンシーン)
8R:左フックでコンがダウン
(感想:ルイスがタイトル防衛。第二次大戦のため陸軍に入隊していたルイス(ただし、戦場で戦ったワケではない。各地を回って兵士を慰問する役目)。1945年10月1日に除隊、カムバック。22度目の防衛戦は18度目の防衛戦で戦ったコンとの再戦。元世界ライトヘビー級王者のコン。ルイス戦後、三連勝。そのラストの試合(1942年)で「鋼鉄の男」と呼ばれた世界ミドル級王者トニー・ゼールに勝利。それからルイスと同様、戦争のため陸軍に入隊、ブランク。1946年にルイスと再戦することに。ルイスとコンの初戦は1941年に行われ、その時はルイスがパワーで勝利。あれから数年。再戦はどんな試合になるか? ブロンクス「ヤンキースタジアム」での一戦(初戦はニューヨーク「ポロ・グラウンズ」で行われた)。前回と同じ動きをするコン。足を使いながら距離を取ってジャブ。ただ、初戦で見せたようなパワーとキレのある右ストレート、左フックは今回は見られない。ルイスの方はどことなく身体が丸っこくなったような印象。ジャブが正確ではあるが、パワーに欠け、得意のストレート、フックも同様。ジャブでコンを追うルイス。8Rについに捕らえる。右ストレートが効いたコンに強烈な右アッパーからの左フック。豪快に倒されたコンは立てず、KO。ルイスが勝利。当時としては破格の60万ドルのファイトマネーを得た。この試合ではかつての強さを見せられなかったルイスだが、最後の畳み掛けるコンビネーションは凄まじいものがあった。一方、コンはかつての鋭いパンチを失い、「普通のアウトボクサー」になってしまっていた。戦争が選手のキャリアに及ぼす影響。ルイスと同様、モハメド・アリもベトナム戦争を拒否して三年間のブランクを作り、カムバック後はそれまでとは違う選手になってしまった。ヘビー級ボクシングの二大スターが同じような運命になってしまったのは単なる偶然か? コンはこれが事実上のラストファイト。後、カムバックして二勝した。)

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