世界の名ボクサー:モハメド・アリ①「ザ・グレーテスト」

世界ヘビー級王者。世界王者になる前の試合&世界戦。アーチー・ムーア戦、ソニー・リストン戦(初戦・再戦)、フロイド・パターソン戦(初戦)を紹介します。

モハメド・アリ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①カシアス・クレイ 4R TKO アーチー・ムーア
(ヘビー級戦、1962年)
(ダウンシーン)
4R:右ストレート、左フック連打、連打で3度、ムーアがダウン
(感想:ケンタッキー州ルイビル出身の黒人、アリ(ソニー・リストンとの初戦後、「カシアス・クレイ」から「モハメド・アリ」へ)。1960年のローマ・オリンピックではライトヘビー級で金メダル。プロ入り後はスピードのある動きでこれまで全勝。プロ16戦目の相手は「老雄」(62年最後の試合、11月)。ムーアは強打が売り物の元世界ライトヘビー級王者。これまで193勝25敗8分(TV映像より)。世界ヘビー級王座に二度挑戦したことがあるが、いずれも敗北。当時43歳(クレイは20歳)。とっくにピークを過ぎているが借金があるといった事情からこの試合を受けることにしたという。二人にはちょっとした因縁が。デビュー当初、クレイはムーアの指導を受けに行ったが、ムーアから雑用を言いつけられることにウンザリしてサッサと辞めてしまった。試合前、クレイは4RでムーアをKOすると予告(「ムーアはフォア(4)だ!」)。どんな内容となるか? ロサンゼルス「スポーツ・アリーナ」での一戦。クレイ、次いでムーアが入場。ゴング前、フロイド・パターソンをKOして世界ヘビー級王者になったばかりのソニー・リストンがリング上で挨拶、両選手激励。1R、クレイがフットワークで距離を取りながら左のガードを下げた構えからジャブ、ワンツー、左フック。手打ち気味ではあるが、その分、スピードと器用さがあり、手数も多い。ムーアは独特の「腕をクロスするディフェンス」を使いながら前進し、ジャブ、右ストレート。クレイがスピードで優勢。クリンチで接近戦を回避し、速いパンチ。3R、ワンツーでムーアがグラつく。4R、左フックからの右ストレートでムーアがダウン(有名なシーン。ムーアを倒してクレイが勝ち誇ったような態度)。立ったが、左フック連打で二度目。今度も立ったが、連打で三度目のダウン、レフェリーストップ。クレイが手数で勝利。速いジャブ、クロス気味に打ち込む右ストレート、得意の左フックに良さがあった。ムーアは過去の選手。クレイの速いパンチを打たれるばかりだった。その後のムーア。次の試合に勝利して引退。引退後は「特別コーチ」としてジョージ・フォアマンに「クロス式ディフェンス」を伝授し、後のボクシング界に大きな影響を与えた。)

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