世界の名ボクサー:ジュリアン・ジャクソン③「カリブ海の強打者 ”ザ・ホーク”」

世界J・ミドル、ミドル級王者。世界王座防衛戦&二階級制覇。フランシスコ・デ・ヘスス戦、テリー・ノリス戦、ヘロール・グラハム戦、デニス・ミルトン戦ほかを紹介します。

ジュリアン・ジャクソン(アメリカ領ヴァージン諸島)
身長182cm:オーソドックス(右構え)

①ジュリアン・ジャクソン 8R KO フランシスコ・デ・ヘスス
(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1989年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでデ・ヘススがダウン
8R:右フックでデ・ヘススがダウン
(感想:ジャクソンがタイトル防衛。ドン・キングと契約しているジャクソン。「ラスベガス・ヒルトン」で行われた「マイク・タイソン vs. フランク・ブルーノ(初戦)」の前座カードに登場。挑戦者デ・ヘススはブラジル・サンパウロ出身。1976年のモントリオール、1980年のモスクワ・オリンピックに出場(メダルは獲得ならず)。プロデビュー以来、連戦連勝でブラジル王座、南米王座(いずれもJ・ミドル級)を獲得、防衛。しかし、モントリオールでマシューヒルトン(後、IBF世界J・ミドル級王者に)に判定負け、初黒星。その後、南米王座戦で敗北したが、ジャクソン戦の直前の試合で空位のWBC米大陸王座(J・ミドル級)を獲得している。両選手リング入場。残念なことにリングサイド席はガラガラ(タイソン目当ての客はジャクソンの強打には興味がないらしい)。ジャクソンがいつものように強打で前進。ジャブ、ワンツー、フック、ボディ打ち。ボクサータイプのデ・ヘススは強打に押されているというのもあって足を使って距離を取るシーンが多い。2R、右ストレートでデ・ヘススがダウン。その後もデ・ヘススは右ストレートを時折見せるが、ジャクソンが強打でプレッシャーをかけ続ける。5R、足を使いすぎたか、デ・ヘススがコーナー付近でスリップダウン。8R、左ジャブからの右フックでデ・ヘススがダウン。立てず、KO。ほぼ一方的な内容で「勝負」としてはそれほど興味深い試合とはならなかったが、ジャクソンの強さがよく出ていた試合。TV映像でも迫力があったジャクソンのパンチ。リングサイドで見なかった客は損をしている。打ち合いを避け続けたデ・ヘススはやはりパワー不足。ジャクソンには打たれ弱さがあるためもっと思い切った勝負を仕掛けて欲しかったところではあるが、元々そういう戦い方をする選手なのかもしれない。デ・ヘススはこの試合が事実上のラストファイト。数年後カムバックしたが、ラマー・パークスらを相手に二連続KO負けだった。)

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