世界の名ボクサー:フロイド・パターソン④「ガゼルパンチの使い手」

世界ヘビー級王者。王座陥落後の苦闘。ソニー・リストン戦(再戦)、ジョージ・シュバロ戦、モハメド・アリ戦(初戦)、ヘンリー・クーパー戦を紹介します。

フロイド・パターソン(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)

①ソニー・リストン 1R KO フロイド・パターソン
(世界ヘビー級タイトル戦、1963年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレート、 右ストレート、左フックで3度、パターソンがダウン
(感想:リストンがタイトル防衛。リストンにわずか1RでKOされて世界ヘビー級王座を失ったパターソン。結局、62年はその試合のみとなった。そして、この再戦。前回、1Rで決着がついたにもかかわらず「ダイレクト・リマッチ」(普通「ダイレクト・リマッチ」は微妙な判定だったときなど、結果に異議がある場合に行われる)。パターソン、リストンにとって63年初試合(7月)となる再戦(リストンがゴルフクラブをスイングして膝を負傷したため3か月試合が延期されて7月開催となった)。どんな内容となるか? ラスベガスでの一戦。1R、強打で迫るリストン。パターソンは思い切って打ち返すが、三度ダウンで今回も玉砕。リストンが圧勝。動きのスピードはそれほど無かったが、パワーがあった。スピードではなくパワーで制圧するつもりだったのだろう。一方、過去の栄光がまるで遠い昔の出来事であったかのような惨敗を喫したパターソン。試合前、「また負ける」といった感じで自虐的になっていたという(それでは勝てない)。かつてインゲマル・ヨハンソンにKOされたがタイトルを取り返して「初めて世界ヘビー級王座に返り咲いた選手」になったが、今回はダメだった。その後のリストン。圧倒的なパワー、正確なジャブを武器に王座を防衛し続けるであろう、と予想されたが意外な展開。新星カシアス・クレイにまさかのTKO負け。再戦(ダイレクト・リマッチ)でクレイは「モハメド・アリ」に改名。何と1RでのTKOでリストンは完敗。それがリストンの最後の世界戦となった。)

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