世界の名ボクサー:フリオ・セサール・チャベス①「メヒコの英雄」

世界三階級王者。初の世界挑戦&防衛戦。マリオ・マルチネス戦、ルーベン・カスティーヨ戦、ロジャー・メイウェザー戦(初戦)、ドワイト・プラチェット戦を紹介します。

フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)

①フリオ・セサール・チャベス 8R TKO マリオ・マルチネス
(WBC世界J・ライト級王座決定戦、1984年)
(感想:チャベスがタイトル獲得。「Julio Cesar Chavez」の名により「JCスーパースター」と呼ばれたチャベス。実力者相手に連戦連勝。「一体どこまで勝ち続けるのか?」と現役時代は大いに話題になった。メキシコ・ソノラ州出身。貧しい家庭の出で、ケンカばかりの少年時代。憧れのボクサーはルーベン・オリバレス。13歳の時、兄の影響を受けてボクシングを始める。草試合に出場して生活費を稼いだことも。アマチュアでの戦績は14勝1敗(大会での優勝経験あり)。「カネが必要」ということでアマチュアを早々に切り上げ、プロへ。その後、連戦連勝(「一つ負けがあるのでは?」という疑惑アリ。しかし、本人は否定。それはプロ12戦目のミゲル・ルイス(メキシコ)戦のこと。「ラウンド終了後のパンチ」で「反則負け」を宣せられたが、後日、「その裁定は誤りである」として「KO勝ち」に変更された)。しかし、ローカルな試合が多く、勝っても勝っても大きなチャンスが来ない。ところがドン・キングと組んでチャンス到来。人気者(ではあるがトラブルメーカーの)ヘクター・カマチョが返上した王座の決定戦に出場できることに。これまで41戦全勝(37KO)で22歳。ただ、地方での試合が多く、国際的にその実力は知られていない。世界にその実力を「お披露目」といったところ。マルチネスもメキシカン。16歳でプロ入り。ジャブ、ストレートを基本とする正統派で、これまで敗北は一つだけ。このところ連勝中で、ロベルト・カスタノン(スペイン。ダニー・ロペス、サルバドル・サンチェスのWBC世界フェザー級王座に挑戦)にTKO勝ち。直前の試合ではローランド・ナバレッテ(元WBC世界J・ライト級王者。バズーカ・リモンとの激戦で有名なフィリピンのサウスポー)にTKO勝ちしている。共に世界初挑戦。試合地はロサンゼルス「オリンピック・オーディトリアム」(リングアナはジミー・レノン・ジュニア)。リング入場のチャベス(この頃はかなりスリムな体型)。ゴング。共に足でリズムを取りながらジャブ、接近してフック連打。ボクサータイプのマルチネスが接近戦を仕掛けるが、パンチを当てる巧さとディフェンスでチャベスが上回る。離れた距離でもチャベスのジャブがヒット。チャベス優勢の展開。8R終了間際、マルチネスが連打されてレフェリーストップ(TV映像の時計ではストップの時点で3分を過ぎていたように見えた)。地道にパンチを当て続けたチャベスが粘り強さで勝利。マルチネスのパンチも時折ヒットしていたが、チャベスはタフだった。ここから「チャベス時代」がスタート。しかし、後にマイク・タイソンが不祥事により「スーパースター不在」となったボクシング界でチャベスが世界の中心選手になると誰が予想しただろう? 一方、敗れたマルチネス。その後、数度の世界挑戦のチャンスを得たが、メジャータイトルは獲得できなかった。)

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