世界の名ボクサー:シュガー・レイ・ロビンソン⑤「史上最強の拳聖」

世界ウェルター級、ミドル級王者。四度目、五度目の世界ミドル級王座獲得。ジーン・フルマー戦(初戦・再戦)、カーメン・バシリオ戦(初戦・再戦)ほかを紹介します。

シュガー・レイ・ロビンソン(アメリカ)
身長180cm:オーソドックス(右構え)

①ジーン・フルマー 15R 判定 シュガー・レイ・ロビンソン
(世界ミドル級タイトル戦、1957年1月)
(感想:フルマーがタイトル獲得。これまで139勝(90KO)4敗2分のロビンソン(35歳)。ボボ・オルソンから奪回した王座の二度目の防衛戦(「NBA世界ミドル級王座決定戦」でもあったらしい。世界王座が複数あるのは昔も今も変わらない)。挑戦者フルマー(25歳)は太々しいツラ構えがインパクトの白人。ユタ州出身(兄弟ドン・フルマー、ジェイ・フルマーもプロボクサー)。ニックネームは「サイクロン」(おそらく「パンチを振り回すタイプ」であろう)。身長は「173cm」で大きくはない。37勝(20KO)3敗。後の世界王者ポール・ペンダーに勝利するなどデビューから連勝。判定でギル・ターナーに初黒星。ターナーに雪辱したが、その後に二連敗。それから連勝でこのロビンソン戦。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。中間距離からジャブを出すロビンソン。フルマーは打つときはまとめて打つタイプ。右ストレート、フック連打。ロビンソンは得意の右ストレートが出ない(試合前に風邪を引いて一度試合が延期になった。それが影響?)。相手に接近されてそれを持て余し、クリンチ。フルマーはクリンチされても構わずパンチを出し続ける(クリンチは休むためにするもの。ロビンソンはクリンチ時に打たれて逆にダメージ。ジョーイ・マキシム戦で大きいマキシムにクリンチして逆に疲弊していったが、その時のことを思い出させるようなロビンソンのクリンチだった)。7R、フルマーがロビンソンを強引に引き倒し、ロビンソンがロープ外にはみ出る。これをレフェリーは「ダウン」扱い(映像では「正当なパンチによるダウン」には見えなかった)。その後も左の巧さを見せるロビンソンだが、フルマーは前進。ロビンソンは左目付近を負傷。15R終了。判定は3-0。無骨な攻め方ながらフルマーが攻めの姿勢で勝利。ロビンソンはもう一つ。得意パンチがイマイチで相手に押し切られるパターン。以前、ランディ・ターピンの勢いに押されて王座を失ったことがあったが、その時と同じだった。「史上最強の拳聖」も年齢、コンディションによって試合の出来不出来。この試合では右ストレートが出なかったことが直接の敗因。両者は後、再戦。)

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