世界の名ボクサー:マービン・ハグラー⑤「驚異的な世界ミドル級王者」

強打の統一世界ミドル級王者。世界王座防衛戦。フリー・オベル戦(再戦)、トニー・シブソン戦、ウィルフォード・サイピオン戦、ロベルト・デュラン戦を紹介します。

マービン・ハグラー(アメリカ)
身長177cm:スイッチヒッター(両構え)

①マービン・ハグラー 5R KO フルヘンシオ・オベルメヒアス
(世界ミドル級タイトル戦、1982年)
(ダウンシーン)
5R:右フックでオベルメヒアスがダウン
(感想:ハグラーがタイトル防衛。イタリア・サンレモで行われたハグラーの五度目の防衛戦(何と午前3時に試合。アメリカのテレビ中継に合わせるためだったという)。挑戦者オベルメヒアス(略して「フリー・オベル」とも呼ばれる)はベネズエラの選手。これが二度目の世界挑戦。前回あれだけ打たれたのに再びハグラーに挑戦するオベルはなかなかの根性の持ち主。基本的な動きは初戦と変わらないが、今回のオベルはフットワークとジャブ・ストレートを使う作戦。しかし、3Rまではうまくいったが、4Rからハグラーが前進。5R、右フックでダウンしたオベルは立てなかった。ハグラーはハードパンチャーだが、パワーに頼るのではなく、当てるテクニックを生かすのが実に上手い天才ボクサー。一方、惨敗を喫し、またしても世界を獲れなかったオベル。後、1988年にWBA世界S・ミドル級タイトルを朴鍾八との再戦で獲得し、ようやく世界王者に。「S・ミドル級は中途半端な階級であり、不要だ」と言う人が当時は多かったが、オベルのように実力がありながら強いチャンピオンに阻まれてきた選手が活躍することができた、という点で、この階級にも存在意義があると言えよう。)

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