世界の名ボクサー:ドナルド・カリー⑥「シャープなパンチを持つコブラ」

80年代のスター。苦闘が続く中、二階級制覇に挑戦。マイク・マッカラム戦、ルペ・アキノ戦、ジャンフランコ・ロッシ戦、ルネ・ジャコー戦を紹介します。

ドナルド・カリー(アメリカ)
身長177cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・マッカラム 5R KO ドナルド・カリー
(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1987年)
(ダウンシーン)
5R:左フックでカリーがダウン
(感想:マッカラムがタイトル防衛。「次期スーパースター候補」だったカリー。ミルトン・マクローリーを豪快にKOして絶好調だったが、ロイド・ハニガンに大番狂わせのTKO負け(元々打たれ弱さがあったため、「ありえない結果」というわけではなかったが)。全勝記録をストップされた後も不本意な二連続反則勝ちでもう一つツイていない。勢いがあるとは言い難いが、「元世界ウェルター級王者」として二階級制覇を目指す。どんな試合を見せるか?  王者マッカラムはジャマイカ出身の「謎の男」(本当の年齢がハッキリしない)。性格的に難しい男らしく、マネージャーらと衝突したりする。しかし、練習熱心で、ボクシングの実力は確かなもの。アマチュアで優秀な成績。 プロ入り後はこれまで全勝。ショーン・マニオンとの王座決定戦で15R判定勝ちし、WBA王座獲得。ジュリアン・ジャクソン、マクローリーを倒して連続防衛中。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。似た戦い方をする両者。ジャブと連打で打ち合う。2Rに右ストレートを食って「ガクン」となったマッカラム。しかし打たれ強いマッカラムは5Rに左フック一発でカリーを倒し、KO勝ち。真っ直ぐな動きをするカリーはマッカラムの伸びるパンチをかわすことができなかった(カリーは階級を上げて体とパンチのキレが落ちた。元々パワーではなくキレで勝ってきた選手。カリーはウェルター級がベストだと思う)。マッカラムはパワーがあり、手数も多く、当てるのが上手く、タフ。トータル的にハイレベルだった。後、マッカラムはWBA世界ミドル級タイトル、WBC世界L・ヘビー級タイトルを獲得して三階級制覇。L・ヘビー級でも通用するパワー&テクニック。カリーを難なくKOできたのも納得。)

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