世界の名ボクサー:ウィルフレド・ゴメス⑥ラスト「プエルトリコのKOキング」

世界三階級制覇王者。苦闘となった世界王座防衛戦&三階級制覇。アズマー・ネルソン戦、ロッキー・ロックリッジ戦、アルフレド・ライネ戦、マリオ・ゴンザレス戦ほかを紹介します。

ウィルフレド・ゴメス(プエルトリコ)
身長165cm:オーソドックス(右構え)

①アズマー・ネルソン 11R KO ウィルフレド・ゴメス
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1984年)
(ダウンシーン)
11R:右フックで2度、ゴメスがダウン
(感想:ネルソンがタイトル獲得。念願のWBC世界フェザー級王座を獲得したゴメスが初防衛戦。挑戦者ネルソンは「サルバドル・サンチェスの最後の対戦相手」。ガーナのアクラ出身で「野生児」と呼ばれるが、豊かな家庭の出らしい。アマチュアでキャリアを積む(タイトルも獲得)。プロデビュー以来、全勝でサンチェスのWBC世界フェザー級タイトルに挑戦。大いに頑張ったが、最終ラウンド(15R)でKOされた。その後、連勝し、この二度目の世界挑戦。強打者同士の対決。試合前、ネルソンはKOでの王座奪取を予告。ゴメスは「ネルソンに勝った後はヘクター・カマチョと戦うつもり」「フリオ・セサール・チャベスの王座(WBC世界J・ライト級王座)も欲しい」とコメント。どんな試合になるか? プエルトリコ・サンファンで行われた一戦。ジャブと左右フックで前に出るネルソン。ゴメスはハードパンチャーではあるが、慎重な男。フットワークとジャブ、そして左右フック連打。パワーとキレのある強打でネルソンがあのゴメスを圧倒し、優勢。11R、右フックでゴメスが二度ダウンして終了。映像ではパンチの強さがどの程度なのかはわからないが、どちらがチャンピオンかわからないほどのパワー差を感じた。ゴメスは応戦するのが精一杯で、最後は「ボロボロになって精も根も尽き果てた」ような倒れ方(赤井英和が負けたときもこんな感じだった)。J・フェザー級で17連続KO防衛したゴメスだが、階級を上げてからはあまり強さを感じない選手になってしまった。「ウィルフレド・ゴメス」という選手を評価する時に迷うのが、サンチェス戦とこのネルソン戦での惨敗。凄い選手であるが、このような負け方をされると高く評価できない。J・フェザー級であれだけ強かった男がフェザー級ではこんなにボロボロにされてしまうものなのか。ボクサーにはやはりその選手に合う「ベストな階級」があるようだ。ネルソンはその後、WBC世界J・ライト級王座を獲得して二階級制覇。オーストラリアの剛腕ジェフ・フェネックを粉砕するなど驚異的な腕力を見せつけた。)

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