世界の名ボクサー:フランク・ブルーノ③「白人にも支持された英国ヘビー級」

WBC世界ヘビー級王者。二度目の世界挑戦&再起ロード。マイク・タイソン戦(初戦)、ジョン・エメン戦、ホセ・リバルタ戦、カール・ウィリアムス戦を紹介します。

フランク・ブルーノ(イギリス)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・タイソン 5R TKO フランク・ブルーノ
(世界ヘビー級タイトル戦、1989年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでブルーノがダウン
(感想:タイソンがタイトル防衛。ティム・ウィザスプーンのWBA王座に挑戦してKO負けして以来、ジェームス・ティリス、ジョー・バグナーらを相手に四連勝のブルーノ。二度目の世界挑戦のチャンス到来。しかしながら、王者タイソンに様々なトラブル(マネージャーと金銭問題、ミッチ・グリーンとのストリートファイトでコブシを負傷、自動車事故で失神。妻とのトラブル(そして離婚))。この対戦はロンドンで行う話もあったが、英国で行われた「アラン・ミンター vs. マービン・ハグラー(世界ミドル級王座戦)」での黒人のハグラーに対する観客の人種差別的な振る舞いをタイソンは知っていたため英国開催は見送られた。様々なトラブルにより試合が何度も延期。散々待たされてきたブルーノとしては「もうウンザリ」といったところだが、ファイトマネーは挑戦者ブルーノの方が高くなった(散々待たせた「お詫び」として「待たせ料」が上乗せされたらしい)。ネバダ州「ラスベガス・ヒルトン」での一戦。1R、先制攻撃のタイソン。右フックで早くもダウンを奪う。その後、ブルーノはタイソンの首をつかんで打つ反則を何度も繰り返す(タイソンの突進を食い止めるために一生懸命練習してきたのだろう)。その反則を何度もレフェリー(リチャード・スティール)に注意され、さらにタイソンを後ろから攻撃して、ついに減点。しかし、タイソンも闇雲に前に出て左フックを食ってピンチに。2R以降、ジャブ、左フックのブルーノ。タイソンは前に出て強打を当てようとするが、もみ合いになるシーンが目立つ。5R、タイソンがラッシュ。得意の「右ボディからの右アッパー」。最後は左フックが決まったところでレフェリーストップ。タイソンが微妙な勝利。動きのキレに欠け、強引な攻め。いつもの素晴らしい動きが消えたタイソンは「単なる粗いファイター」に見えた。ブルーノは筋骨隆々な身体だが、その分、ぎこちなさがあった。しかも、クセになってしまっている反則を連発。正直なところイマイチだった世界戦(興行成績も良くなかったそうだ)。しかし、二人が後に意外な形で再戦するとは誰が予想しただろう?)

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