世界の名ボクサー:ロベルト・デュラン⑧「パナマの ”石の拳”」

世界四階級制覇王者。宿敵とのラバーマッチ。シュガー・レイ・レナード戦(三戦目)、パット・ローラー戦、シェーン・フィッツジェラルド戦ほかを紹介します。

ロベルト・デュラン(パナマ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

①シュガー・レイ・レナード 12R 判定 ロベルト・デュラン
(WBC世界スーパーミドル級タイトル戦、1989年)
(感想:レナードがタイトル防衛。アイラン・バークレーを下して四階級制覇を達成したデュラン(38歳)。しかし、それはデュランの「本当の目標」ではない。過去一勝一敗のレナードとの決着。特に二戦目での腹痛によるリタイア(「ノー・マス事件」。「ノー・マス(もう止めた)」という言葉を残してギブアップ負け)。この汚名をそそがなければ名誉は回復できない。「UNO MAS(もう一度)」と名付けられたレナードとの第三戦。この試合はデュランにとって「決着戦」であると同時に五階級制覇を狙う試合でもある。五階級制覇王者レナード(33歳)は説明不要。ドニー・ラロンデを下してWBC世界ライトヘビー級王座、スーパーミドル級王座を同時に獲得。ライトヘビー級王座は返上し、スーパーミドル級王座を選択。デュラン戦は二度目の防衛戦となる。レナード、デュランと戦ったことがあるハーンズは「レナードの楽勝」を予想しているが、どんな試合内容となるか? ラスベガス「ミラージュ」での一戦。身体を絞っているデュラン(この試合に対する意気込みを感じる)。レナードよりも軽いウェートでリングイン。互いにジャブ、右ストレート。距離を取るレナード、攻めるデュラン。レナードが左フックからの右ストレート、デュランはワンツーを放つが、当たりが浅い。インターバル中、身体が冷えないようにするためセコンドがレナードに毛布を掛ける。3R、レナードが恒例の「右腕回しパフォーマンス」。そして顔を突き出してデュランをおちょくる。6R、7Rにもデュランを挑発。8R、レナードが右ストレートをヒット。デュランは右を当てようとするがかわされ続ける。12R終了。判定は3-0。再戦のときと同じようにレナードが「打ち合わないボクシング」を展開して勝利。共に畳み掛けるような連打攻撃は無しで盛り上がりに欠ける内容。それだけのスタミナが無かったためと思われる。しかし、レナードは傷を負うダメージを受けた。その後のレナード。翌年、WBC世界スーパーミドル級王座を返上。デュラン戦が最後の試合になるかと思われたが、無謀なカムバック。テリー・ノリス、ヘクター・カマチョのスピードに屈して二連敗、引退。)

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