世界の名ボクサー:ヘクター・カマチョ④「スピードで勝負のマチョマン」

80年代を中心に活躍した人気者。WBOで三階級制覇&防衛戦。レイジェス・クルス戦、レイ・マンシーニ戦、ビニー・パジェンザ戦、トニー・バルタザー戦ほかを紹介します。

ヘクター・カマチョ(プエルトリコ)
身長169cm:サウスポー

①ヘクター・カマチョ 10R 判定 レイジェス・クルス
(J・ウェルター級戦、1988年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでカマチョがダウン
(感想:これまで32戦全勝(15KO)のカマチョが約一年ぶりの試合。ハワード・デービス戦後、トラブルを起こして逮捕されたカマチョ。少年時代の「ワルガキ」ぶりが再燃といったところ。クルスはドミニカの選手でカマチョと同じ26歳。37勝(24KO)2敗2分となかなか良い戦績。デビューから連勝でドミニカ王座(J・ウェルター級)獲得。しかし、ゲイリー・ヒントンと空位のIBF世界J・ウェルター級王座を争って判定負け、初黒星。その後、元世界王者ソウル・マンビーにも判定負け。カマチョ戦はその再起戦となる。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー。会場ではカマチョの母、弟フェリックス、WBC会長ホセ・スライマンが観戦)。派手なシルバーのコスチュームでリングインするカマチョ。トランクスは「ふんどし型」でヒラヒラが付いたもの(カマチョはこのタイプがお気に入りのようで以降はこのデザインでリングに上がるようになっていく)。妙にハイテンションでダンスしまくってシャドーボクシング。そして「マチョタイム!」を連呼。それを冷静な目で見つめるクルス。1R開始のゴング。カマチョが例によって右ジャブ、左ストレートからの右フック。コンディションは良さそう。クルスはスラリとしたボクサータイプで足とジャブ。接近戦では左フックからの右ストレートといったシャープなパンチ。そして右フックでカマチョが「ベチャ!」っといった感じで前のめりにダウン(その姿に母と弟が心配そうな表情)。その後、なぜか攻めないクルス。ワンツー、左フック、フック連打に強いものがあるにもかかわらず受け身の姿勢。カマチョがジャブ、ワンツーで前に。クルスを左カウンターで迎え撃つシーンも。しかし終盤、カマチョはクリンチ連発。10R終了。判定は極めて僅差の3-0。もう少しで負けるところだったカマチョ。クルスがKOを狙って攻めるタイプではなかったため連勝記録にキズをつけずに済んだ。その後のクルス。再起戦に敗北し、三連敗。ドミニカ王座戦に勝利したが、最後は二連敗で引退。世界王座を獲ってもおかしくない実力はあったが、ドミニカの強豪にとどまった。)

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