世界の名ボクサー:ラリー・ホームズ④「イーストンの暗殺者」

WBC・IBF世界ヘビー級王者。待望のビッグイベント&苦闘の世界王座防衛戦。ゲーリー・クーニー戦、ティム・ウィザスプーン戦、スコット・フランク戦ほかを紹介します。

ラリー・ホームズ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①ラリー・ホームズ 13R TKO ゲーリー・クーニー
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1982年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでクーニーがダウン
13R:右ストレートでクーニーがダウン
(感想:ホームズがタイトル防衛。全勝で王座を守り続けるホームズ。しかし、イマイチ人気が出ない。本人のキャラクターだけではなく、「良きライバル」がいないのも原因。そんなホームズに大きな試合。12度目の防衛戦(プロ40戦目)の相手は「ホワイトホープ」。挑戦者クーニーは黒人ばかりが世界王者になるヘビー級に珍しく現れた有望白人選手。巨体とパワーが武器でこれまで全勝。あのケン・ノートンを1Rで粉砕している。しかしながら、ホームズはクーニーを評価せず、これまで散々けなしてきた(「動きが鈍い」「大した相手と戦っていない」といったことを過激な表現で)。ファイトマネーは共に1000万ドル。試合が行われるラスベガスは大賑わい(白人にとって「世界ヘビー級王者が黒人ばかりでは面白くない」という本音がこの興行を巨大なものにした原因ではないかと)。ラスベガス「シーザース・パレス」での大一番(会場では俳優シルヴェスター・スタローンが観戦)。互いにジャブを打ち合うが、ホームズは速く、クーニーは重い。序盤はクーニーのパワーを警戒しているのか、ホームズはジャブとフットワーク。2R、右ストレートでクーニーがダウン。その後、足を止めて打ち合うなどホームズがスピードとパワーで優勢に。13R、ロープ際でクーニーがダウンしたところでセコンドがリングに入りTKO。ホームズが圧勝。クーニーはリズム感が無い男。攻撃がとぎれとぎれで動きに乏しく、何となくあまりヤル気が無いように見えた。もっとテンポよく攻めることができればサプライズもあったかも知れないが、何とも覇気が無い男だ。その後、クーニーはブランクがち。最後はマイケル・スピンクス、ジョージ・フォアマンに二連続KOされてリングを去った(あまり嫌味なことは書きたくないが「ホワイトホープ」というより「白人の悪夢」だった印象)。)

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