世界の名ボクサー:フリオ・セサール・チャベス⑩ラスト「メヒコの英雄」

世界三階級制覇王者。世界王座返り咲きを目指す戦い。ミゲル・アンヘル・ゴンザレス戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦(再戦)、コンスタンチン・チュー戦ほかを紹介します。

フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)

①フリオ・セサール・チャベス 10R 判定 トニー・マーティン
(ウェルター級戦、1997年)
(感想:オスカー・デラ・ホーヤにWBC世界J・ウェルター級王座を奪われたチャベス。これまで98勝(83KO)2敗1分。再起二戦目(97年初試合)。34勝(12KO)5敗1分のマーティンはミズーリ州セントルイス出身の黒人で、36歳のベテラン。後の世界王者サミー・フエンテスに敗北、元王者リビングストン・ブランブル、ミッキー・ウォードに勝利、チャールズ・マレーに敗北。全米王座(ウェルター級)獲得、防衛。次いで北米王座(ウェルター級)も獲得。このところ好調。チャベスにとって手強い相手と思われる。ラスベガス「ヒルトン」での一戦(レフェリーはケニー・ベイレス)。相手を警戒するマーティン。ジャブ連打、右ストレート、左フック。左ボディ打ちにパワー。チャベスは左ジャブ、左フックといった左のテクニック。動きのキレは落ちたがパンチを当てる巧さ、パンチの強さは健在。マーティンは残念なところが。パンチ自体は良いが、単発。畳み掛ける攻めができない欠点(単にスタミナ切れか? 全盛期はどうだったのだろう?)。4R、マーティンがローブロー。5Rにもローブローで減点。しかし6Rにマーティンはパワフルなワンツーからの左フックを披露。その後、右を食って左目が腫れるチャベス。マーティンは左フックを食って右目が酷い腫れ。9R終了間際、激しい打撃戦。10R終了。判定は3-0。チャベスがコンビネーションで勝利。勝利して笑顔(ドン・キングも。しかし、KOできなかったことをキングはどう思っただろう?)。しかし、もしマーティンが6Rに見せたような攻撃を頻繁にやっていたらどんな結果になっていただろう? マーティンの単発さにチャベスは助けられた形。やはりチャベスはウェルター級の選手ではない。一方、これが最後の試合になったマーティン。引退後は賃貸物件を所有。しかし2013年、家賃の支払いを住人に求めたところ銃で撃たれて死去。52歳だった。)

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