世界の名ボクサー:ヘクター・カマチョ⑦ラスト「スピードで勝負のマチョマン」

90年代も戦う人気者。キャリア終盤のビッグファイト。ロベルト・デュラン戦(初戦・再戦)、シュガー・レイ・レナード戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦を紹介します。

ヘクター・カマチョ(プエルトリコ)
身長169cm:サウスポー

①ヘクター・カマチョ 12R 判定 ロベルト・デュラン
(IBCミドル級王座決定戦、1996年)
(感想:カマチョがタイトル獲得。このところマイナー団体「IBC」の王座戦や二線級の相手との試合が続いているIBCウェルター級王者カマチョ(これまで59勝(29KO)3敗1分)。何とあの大物と対戦。全盛は遙かに過ぎているが、タフネスでリングに上がり続ける「石の拳」デュラン(パナマ。97勝(67KO)11敗、IBC5位)。説明不要の有名選手。ライト級時代はガッツ石松をKOしたり、WBA・WBC王座を統一したり。しかし、階級を上げてからは苦戦続き。四階級制覇をしているが、トーマス・ハーンズに思いっ切りKOされたり、シュガー・レイ・レナードのスピードについて行けず敗れたり。 近年ではビニー・パジェンサとIBCのS・ミドル級王座を二度争って、二度とも敗北。あまり期待できないが、カマチョ相手にどんな動きを見せるか、といったところ。アトランチックシティでの一戦。プロレスのタイガーマスクのようなマント、トランクスで入場のカマチョ(相変わらず奇抜な格好だが、あまり格好良くないような気がする)。試合では左右の構えの違いはあるが、共にジャブ、ストレート。デュランはジャブ、ワンツーはそこそこ悪くはないが、左フックの打ち方がイマイチ。そのため接近戦ではクリンチ、もみ合い。カマチョは重い体重での試合となったが、ジャブ、左ストレートにスピードがある、7R、カマチョが左ストレートをヒットさせる。終盤は攻めるデュラン、クリンチのカマチョ。最終ラウンド終了時、共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は3-0だったが、ジャッジの一人は2ポイント差だった。個人的に内容にはそれほど期待していなかったが、リングサイドの客は満足の様子。有名選手同士の試合。昔のファンには嬉しいものだっただろう。デュランは右ボディ打ちも良かったが、左フックが不正確だったのが惜しかった。後に両者は違う王座を懸けて再戦する。)

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