世界の名ボクサー:マイク・タイソン⑥「強打の鉄人」

世界ヘビー級王者。史上最年少で頂点に。世界挑戦、統一戦、防衛戦。アルフォンソ・ラトリフ戦、トレバー・バービック戦、ジェームス・スミス戦、ピンクロン・トーマス戦を紹介します。

マイク・タイソン(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・タイソン 2R KO アルフォンソ・ラトリフ
(ヘビー級戦、1986年)
(ダウンシーン)
2R:左ストレート、右フックでラトリフがダウン
(感想:猛烈な勢いでヘビー級のトップを狙うタイソン。プロ27戦目の相手は元世界王者。ラトリフはテネシー州出身。家庭の都合でミシシッピ州へ。シカゴで暮らすようになってボクシングを始める。その長身でアマチュアでは連戦連勝。プロ入りしたが身体が細く、ベストウェートはクルーザー級。しかしながら、クルーザー級は不人気クラス。マネーを求めるという理由があったと思われ、対戦相手はヘビー級。連勝していたが、ティム・ウィザスプーン、ピンクロン・トーマスにTKO負け。その後、三連勝。ラスベガスでカルロス・デ・レオンに判定勝ちしてWBC世界クルーザー級王座獲得(1985年)。その王座を初防衛戦で失ったラトリフ。再起戦に勝利して、このタイソン戦。ネバダ州「ラスベガス・ヒルトン」での一戦。ボクサータイプでジャブ、ストレートを中心とした戦い方をするラトリフ。フットワーク&ジャブ。タイソンは体を振ってディフェンスしながら強いジャブを打つ。タイソンの圧力が強く、クリンチでしのごうとするラトリフだが、2R、二度のダウンで終了。体格差、パワーの差でタイソンが圧勝。次の試合はいよいよ初の世界王座戦。一方、相手の驚異的な圧力に押され、しかも得意の右ストレートをヘッドスリップでかわされてしまったラトリフ。タイソンは当時、全盛期だったため、この結果は仕方がないといったところ(むしろ名誉なことかも)。その後のラトリフ。クルーザー級とヘビー級で試合。全米クルーザー級王座を獲得したが、敗北もあり世界王座返り咲きならず。個人的には「クルーザー級は中途半端な階級であり、不要なのではないか?」とも思うが、ラトリフやバート・クーパー、ヘンリー・ティルマンのようにクルーザー級がベストウェートな選手もいる。ベストウェートが不人気階級なため、金銭的な理由で体格的に不利な階級に転向して世界王座を獲れずにキャリアを終えたり、惨敗を喫したりすることがよくあるのは残念なことである。)

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