世界の名ボクサー:フェリックス・トリニダード③「プエルトリコ最強の男」

世界三階級制覇王者。安定の世界ウェルター級王座防衛戦。フレディ・ペンドルトン戦、レイ・ロバト戦、ケビン・ルーシング戦、マヘンゲ・ズールー戦ほかを紹介します。

フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)
身長180cm:オーソドックス(右構え)

①フェリックス・トリニダード 5R KO フレディ・ペンドルトン
(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1996年)
(ダウンシーン)
5R:左ボディフックでペンドルトンがダウン
(感想:トリニダードがタイトル防衛。これまで28戦全勝(24KO)のトリニダード(23歳)。9度目の防衛戦の相手はベテラン。IBF世界J・ウェルター級2位の挑戦者ペンドルトン(33歳)はフィラデルフィア出身の黒人。ニックネームは「Fearless(恐れ無し)」。40勝(28KO)20敗4分。プロデビュー戦(1981年)は判定負け。その後も思うように勝つことができず、ヒルマー・ケンティ、フランキー・ランドール、ジミー・ポールといったライト級の実力者に敗北。ロジャー・メイウェザーをKOして注目を集める。ランドールとの再戦に引き分け。全米ライト級王座獲得。パーネル・ウィテカーの世界ライト級王座への挑戦は判定負け。決定戦でIBF世界ライト級王座獲得(1993年)。しかし、ラファエル・ルエラスに不可解な判定負けで王座陥落。全米J・ウェルター級王座獲得。ボクシング界の難しさをタップリと経験してきた男が階級を上げてトリニダードに挑戦。ラスベガス「ミラージュ」での一戦(レフェリーはリチャード・スティール)。両者ともスリムな体型。そのため体格差はあまり感じられない。1R、いきなり右パンチをかますペンドルトン。その後は互いに速いジャブ、ストレート、ディフェンス。しかし、やはりスペックに差が。2R、トリニダードの伸びる右ストレートがヒット。共に左フックを振るうがトリニダードのはナチュラルな打ち方なのに対し、ペンドルトンはパワーを意識した力んだ打ち方。そのためペンドルトンには打ち終わった後に隙が。5R、左ボディ一撃でペンドルトンがダウン。立てず、KO。トリニダードがパワーで圧勝。ペンドルトンのパンチには速さがあったが、トリニダードはそれに加えて伸びとパワーがあった。惨敗だったペンドルトン。その後もリングへ。ビンス・フィリップスのIBF世界J・ウェルター級王座に挑戦して敗北、またしても二階級制覇ならず。結局、2001年まで現役を続け、2011年にフロリダ州のボクシング殿堂入り。)

ここから先は

2,779字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?