世界の名ボクサー:ナジーム・ハメド④「柔軟な身体&強打の王子」

世界フェザー級王者。初の世界戦&WBO王座防衛戦。スティーブ・ロビンソン戦、サイド・ラワル戦、ダニエル・アリセア戦、マヌエル・メディナ戦を紹介します。

ナジーム・ハメド(イギリス)
身長164cm:サウスポー

①ナジーム・ハメド 8R KO スティーブ・ロビンソン
(WBO世界フェザー級タイトル戦、1995年)
(ダウンシーン)
5R:連打でロビンソンがダウン
8R:左フックでロビンソンがダウン
(感想:ハメドがタイトル獲得。ハメドがプロ20戦目で初の世界挑戦(95年最後の試合、9月)。WBCのインター王座(J・フェザー級)を連続防衛してきたハメドだが、フェザー級での実績は無し。WBOによって「世界フェザー級1位」にランクされ、挑戦のチャンスを得た。そのあたりが試合にどう影響するか? 王者ロビンソンはウェールズの黒人。ニックネームは「シンデレラマン」。デビュー戦に勝利したが、その後は勝ったり負けたり。地域王座を獲得。しかし、その後も敗北。決定戦でWBO王座獲得。意外なことにポール・ホドキンソン、デューク・マッケンジーらを相手に連続防衛して安定王者に。ハメド戦は八度目の防衛戦となる。ウェールズ・カーディフでの一戦(大観衆)。赤のトランクスのロビンソン。ハメドは虎の毛皮のような個性的なトランクス(顔立ち、派手なコスチューム、リングでの動きなどヘクター・カマチョにソックリ)。ゴング。ブロックしながらジャブ、ストレートを使う正統派のロビンソン。しかし、動きが固い。ハメドはスイッチしたり、ガードを下げて相手を挑発したりしながらジャブ、ストレート、フック、ボディ打ちを奔放に打ち込む。2R、ハメドが右フックでロビンソンを引き倒す(ハメドはそれをよくやる。パンチとプッシングを合わせたような攻撃で反則ではあるが、減点されるほどの悪質さはない)。さらにノーガードでロビンソンをおちょくり、左ストレートカウンターをヒットさせるなど独壇場。3R、速いジャブ、ストレート連打を見せるロビンソンだが、スウェーでかわされる。5R、ハメドが右フックからの左ストレート。そして、連打でロビンソンがダウン。その後も何とか反撃しようとするロビンソンだが、それ以上に報復されて追い込まれていく。8R、左フックでロビンソンがダウン。倒れると同時にレフェリーは試合を止めた。ハメドが快勝。フェザー級での実績がないまま世界王者に。むしろ減量苦から解放されて伸び伸びしていた印象(しかし、この試合でコブシを痛めたという。その影響は長引いたらしいが、これからどんな試合を見せるか?)。ロビンソンはマジメな選手。しかし、世界王者にしてはそれほど迫力が無かった。そのためハメドに完全に翻弄されてしまった。その後もロビンソンは多くの試合。WBOのインターコンティネンタル王座(フェザー級)獲得、連続防衛。欧州王座(フェザー級)も獲得。しかし、ピークを過ぎてWBOインター王座をKO負けで失った後は全敗。世界王座に返り咲くことはなかった。)

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