世界の名ボクサー:ジェフ・チャンドラー①「スラム街出身の黒人バンタム級」

WBA世界バンタム級王者。世界王者になる前の試合。ローク・モレノ戦、セルジオ・レイエス戦、デイビー・バスケス戦、フスト・ガルシア戦ほかを紹介します。

ジェフ・チャンドラー(アメリカ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

①ジェフ・チャンドラー 5R KO ローク・モレノ
(バンタム級戦、1978年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでモレノがダウン
5R:右アッパーでモレノがダウン
(感想:ペンシルベニア州フィラデルフィアのスラム街出身の黒人チャンドラー。スラリとした体型から繰り出すシャープなパンチで勝負するテクニシャンタイプ。スラム街出身だが、悪事には一切関わってこなかったという(「母親を悲しませたくなかったから」というのが理由)。しかしながら、ガラの悪い連中が周囲にはいっぱい。身を守るためにやったストリートファイトは数え切れないほどあったという。ボクシングを始めたのも身を守るため(「既に手に職をつけており、カネのために始めたのではない」本人談)。アマチュアで数試合を経験し、プロへ。デビュー戦は引き分け。フィラデルフィアを中心にリングに上がり、連勝。しかし、怪しい出来事も(マネージャー失踪事件、ファイトマネー未払い、世界王者になって麻薬所持で逮捕(「医師の処方箋で合法的に入手したもの」本人談))。デビュー当初は判定勝ちが多かったが、それは当時のマネージャーが階級が上の選手と試合をさせたから。新マネージャー、ベッキー・オニール(女性)の手腕もあり、運が向いてきた。KO勝ちが増え、全米王座、北米王座、世界王座を獲得。長身だが、減量苦は無い(キャリア後半は減量苦で階級を上げようと試みたが・・・)。モレノ戦は世界王者になる前の試合で、プロ12戦目(これまで10勝(3KO)1分)。モレノはペンシルベニアの選手のようだが、記録に乏しい。どんな選手なのか? フィラデルフィアでの一戦。1R、共にガードを上げてリズミカルなボクシング。チャンドラーは実に動きが素早く、パンチもシャープ。ジャブ連打からのワンツー、左フック、ボディ連打。モレノはパワーを込めるタイプ(メキシコ系のような顔立ち)。右ストレート、接近戦ではショートパンチ。左フックが効いたモレノ。左フックからの右ストレートでうつぶせにダウン。その後もチャンドラーが速い動き、速いパンチ。モレノも負けじと攻めの姿勢でフック攻撃。ハイペースな打ち合い。パンチのキレ、手数でチャンドラーが優勢か? 5R、右アッパーでモレノがダウン。立ったが、レフェリーストップ。非常に速かったチャンドラー。相手の隙を突いて勝利。モレノも勇敢で悪くはなかった。よりチャンドラーが速かったにすぎない。)

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