世界の名ボクサー:フェリックス・トリニダード④「プエルトリコ最強の男」

世界三階級制覇王者。世界ウェルター級、注目の大一番。パーネル・ウィテカー戦、ウーゴ・ピネダ戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦、デビッド・リード戦ほかを紹介します。

フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)
身長180cm:オーソドックス(右構え)

①フェリックス・トリニダード 12R 判定 パーネル・ウィテカー
(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1999年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでウィテカーがダウン
(感想:トリニダードがタイトル防衛。全勝のままIBF王座を防衛し続けるトリニダード。13度目の相手は大物(99年初試合、2月)。挑戦者ウィテカーはバージニア州ノーフォーク出身の黒人サウスポーで、元WBC王者。ロス五輪(1984年)ではライト級金メダル。プロ入り後、世界ライト、J・ウェルター、ウェルター、J・ミドル級王座を獲得して四階級制覇。デビュー戦はニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」(メダリストが勢揃いした興行。金メダリストのマーク・ブリーランド、メルドリック・テーラー、タイレル・ビッグス、ウィテカー、銀メダリストのバージル・ヒル、銅メダリストのイベンダー・ホリフィールド)。そして、マジソンでトリニダードに挑戦。元々、トリッキーなテクニシャンタイプのウィテカー。右ジャブに正確さがあるが、トリニダードを倒すほどのパワーは無し。トリニダードはかつてはスリムな身体だったが、この頃になるとガッチリした感じに(階級を上げていくことを意識していたと思われる)。トリニダードがパワーで優勢。2R、右ストレートでウィテカーがダウン。12R、ディフェンスが巧いウィテカーがしゃがみ込むかのようにパンチをかわす見せ場を作って12R終了。判定は3-0。トリニダードが全体的なパワー、勢いで勝利。最早、ウィテカーが活躍する時代ではない。この試合がウィテカーの事実上のラストファイト。ブランク後、一試合やったがTKO負け。引退後、交通事故で死去(2019年、55歳)。身軽さが売り物だった男にふさわしくない寂しい亡くなり方だった。)

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