世界の名ボクサー:シュガー・レイ・レナード⑧ラスト「超特急と呼ばれた男」

80年代のスター。世界5階級制覇王者。因縁の決着戦。トーマス・ハーンズ戦(再戦)、ロベルト・デュラン戦(三戦目)、テリー・ノリス戦、ヘクター・カマチョ戦を紹介します。

シュガー・レイ・レナード(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

①シュガー・レイ・レナード 12R 引分 トーマス・ハーンズ
(WBC世界スーパーミドル級タイトル戦、1989年)
(ダウンシーン)
3R:右ストレートでレナードがダウン
11R:右ストレートでレナードがダウン
(感想:レナードがタイトル防衛。これまで35勝(25KO)1敗のレナード。ハーンズは46勝(38KO)3敗。1981年に互いの世界ウェルター級王座を懸けて対戦した二人。歴史的な名勝負の末、レナードが劇的なTKO勝利。勝ったレナードは全てを得た(大金、名声)。しかし、負けたハーンズはそれ以来「二番手」といったポジション。ファン・ドミンゴ・ロルダンをKOして四階級制覇を達成したり、新興団体WBOの世界スーパーミドル級王座を獲得して五階級制覇を達成したりしたが「本当の満足」は得られず。「レナードに雪辱する」一心でリングに上がり続けてきたが、レナードが網膜剥離で引退。その後は不定期にリングに上がるレナードと対戦する機会が来ない。共に世界スーパーミドル級王者になってようやく再戦が実現。ただし、今回はハーンズのWBO王座は懸けられず、レナードのWBC王座のみが懸けられた(基本、世界団体は統一戦を認めない)。アレクシス・アルゲリョやロベルト・デュランは「レナードの勝ち」を予想(打たれ強さ、テクニックを評価)。試合の二日前、ハーンズの弟が恋人を射殺して逮捕されるハプニング。そういったことが試合に影響するかどうか? ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(キャッチフレーズは「THE WAR」。TV解説席にロベルト・デュラン)。ハーンズがおなじみ「KRONK」の金色トランクス。レナードは紅白の派手なトランクス。足を使う慎重姿勢のレナード。ハーンズは長いジャブ、右ストレート。接近戦を避けたいハーンズはジャブで距離を取ったり、バックステップしたり。ジャブの打ち合い。3R、ハーンズの右ストレートがレナードの後頭部をかすってレナードがダウン。その後、ワンツーで攻めるレナード。ハーンズもワンツーで対抗。5R、レナードの左フックでハーンズがピンチ。共にチャンスをつかむが、かつてのようなパンチ・動きのキレに欠ける印象(スピードが落ちるとパワーも半減)。8R、レナードのラウンド終了後のパンチにハーンズが怒り。9R、打たれるハーンズ。そして11R。ハーンズの右ストレートが連続ヒットでレナードがダウン。最終12Rはレナードが優勢か? 12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定はドロー。互いにチャンスとピンチ。初戦と同様、シーゾーゲームとなった。しかしながら、身体のキレ、スタミナといった点において「昔とは違う」という気分になった12Rだった。その後のハーンズ。エマヌエル・スチュワード(長年のトレーナー)と別れ、バージル・ヒルを破ってWBA世界ライトへビー級王座を獲得。マイナー団体の王座ながらクルーザー級のタイトルを獲得する活躍を見せた。)

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