世界の名ボクサー:フロイド・パターソン⑤「ガゼルパンチの使い手」

世界ヘビー級王者。世界王座復帰を目指す戦い。ジェリー・クォーリー戦(初戦・再戦)、ジミー・エリス戦(WBA戦)、チャーリー・グリーン戦を紹介します。

フロイド・パターソン(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)

①フロイド・パターソン 10R 引分 ジェリー・クォーリー
(ヘビー級戦、1967年)
(ダウンシーン)
2R:左フック、ワンツーで2度、パターソンがダウン
7R:左フックでクォーリーがダウン
(感想:世界王座返り咲きを目指すパターソン。モハメド・アリの世界ヘビー級王座に挑戦してTKO負けして以来、三連続KO勝利。クォーリーはカリフォルニア出身の白人(弟もボクサー)。ニックネームは「The Bellflower Bomber」(「Bellflower」はロサンゼルスにある町)。5歳でボクシングを始める。アマチュアの大会で優勝したことも。プロ入り。ロサンゼルスでデビュー(勝利)。無敗を続けたがエディ・マッチェン(当時の実力者)に判定負け、初黒星。その後、連勝でこのパターソン戦。ロサンゼルスでの一戦。足でリズムを取りながら距離を取るパターソン。正確なジャブ、左右フック。特に右フックにパワーがある。クォーリーはジャブを連打して右ストレート。左ボディ打ちに強さ。また、意表を突くかのようにノーモーションで左フックを踏み込んで打ち込む(ガゼルパンチ?)。2R、左フックでパターソンがダウン(しかし、レフェリーはダウンカウントを取らず)。ワンツーで二度目のダウン。その後も接近戦。ジャブ、左フックのクォーリー。パターソンはやはり右パンチにパワーがある。7R、左フックでクォーリーがダウン(レフェリーはダウン扱いせず。映像ではパンチで倒れたように見えた)。一進一退のまま10R終了。判定は引き分け。パターソンはフック連打、当てる巧さ。クォーリーは左ボディ打ちに威力。どちらも良いパンチを打っていた。ただ、当時の関係者は「パターソンの勝ち」と見た者が多かったという。両者はこの後、再戦。)

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