世界の名ボクサー:フロイド・パターソン③「ガゼルパンチの使い手」

世界ヘビー級王者。「北欧の雷神」らとの防衛戦。インゲマル・ヨハンソン戦(三連戦)、トム・マクニーリー戦、ソニー・リストン戦(初戦)を紹介します。

フロイド・パターソン(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)

①インゲマル・ヨハンソン 3R KO フロイド・パターソン
(世界ヘビー級タイトル戦、1959年)
(ダウンシーン)
3R:右ストレート、右フック、右ストレート、左フック、右フック、右フック、右フックで7度、パターソンがダウン
(感想:ヨハンソンがタイトル獲得。パターソンが五度目の防衛戦。挑戦者ヨハンソンはスウェーデン・ヨーテボリ出身の白人。「北欧の雷神」と呼ばれるが、身長はそれほど大きくはない(184cm)。1952年のヘルシンキ・オリンピックでヘビー級銀メダル獲得。プロ入り後はこれまで全勝。欧州ヘビー級王座を獲得、防衛し、世界ランク1位。ニューヨーク「ヤンキー・スタジアム」での第一戦。相手を警戒しながら慎重にジャブを使うヨハンソン。パターソンは飛び込んでいくかのように左フック(ガゼルパンチ)を強振。3R、左フックからの右ストレートでパターソンがダウン。レフェリーのカウント後、再開したが、意識朦朧のパターソンはフラついて横を向く。ディフェンスができていない状態のパターソンにヨハンソンが容赦無い強打を叩き込む。二度目のダウン。その後はヨハンソンがハンマーのようなパンチを何発も叩き込んでKO。ヨハンソンが圧勝(スウェーデン初の世界ヘビー級チャンピオン。国民的英雄となった)。惨敗だったパターソン。ダウンは以前にもあり、決して「難攻不落の王者」ではないが、当時、この結果は「番狂わせ」と言われた。しかし、ヨハンソンにはパターソンに勝てるだけのパンチがあった。実力による勝利。両者はこの後、ダイレクト・リマッチ。)

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