世界の名ボクサー:ウィルフレド・ゴメス①「プエルトリコのKOキング」

「バズーカ」と呼ばれた強打で世界三階級制覇。世界王者になる前の試合&世界戦。アルバート・ダビラ戦、廉東均戦、ラウル・ディアド戦、ロイヤル小林戦を紹介します。

ウィルフレド・ゴメス(プエルトリコ)
身長165cm:オーソドックス(右構え)

①ウィルフレド・ゴメス 9R TKO アルバート・ダビラ
(J・フェザー級戦、1976年)
(ダウンシーン)
9R:左アッパーでダビラがダウン
(感想:プエルトリコ・サンファン出身のゴメス。ニックネームは「Bazooka」。いつからそう呼ばれるようになったのかは不明だが、アマチュア時代から強打で注目されてきた。14歳でアマデビュー。世界選手権で優勝。金銭的に苦しい家庭ということでオリンピックを目指すのは止め、プロ入り。デビュー戦は引き分けに終わったが、その後はKOの山を築く。ダビラ戦は「プロ13戦目」とされている(記録に残っていない試合もあるらしい)。ダビラは堅実なスタイルのボクシングで、後にWBC世界バンタム級王者になる男。ゴメス戦の時点ではルペ・ピントール(後のWBC世界バンタム級王者)に勝利といった実績。サンファンでの一戦。共に足でリズムを取ってジャブ、右ストレート、左フックのリズミカルなボクシング。「驚異的な強打のファイター」というイメージがあるゴメスだが、アマチュアでトップクラスだっただけあって丁寧なスタイル。闇雲に突っ込んでいくのではなく、中間距離を保ちながら左で相手を崩していく。ブロックなどのディフェンス、ワンツーからの左フック、左ボディ打ち、しゃくり上げるような左フック。攻めるゴメス。ダビラは右ストレートなどで応戦するが、ブロックされる。4R、プレッシャーを強めるゴメス。ロープを背負いながらダビラは打ち返そうとする。互いに手数が多いが、試合はゴメスが優勢。9R、左フックからの左アッパーでダビラがダウン。立ったが、連打されてレフェリーストップ。しかし、勢いが止まらないゴメス。ストップ後も攻撃しようとしてレフェリーとセコンドに止められた。ゴメスがハイテンポな連打で勝利。一発で倒すのではなく、細かいパンチと大きなパンチを組み合わせてまとめていく戦法。ダビラは弱い選手ではないが、相手の勢いに押されっぱなしだった。その後、ダビラはカルロス・サラテ、ホルヘ・ルハン、ルペ・ピントールの世界王座(すべてバンタム級)に挑戦して敗北。報われない日々が続いたが、WBC王座決定戦でようやく世界王者に。しかし、その時の対戦相手キコ・ベヒネスが試合のダメージで死去。悩みながらリングに上がるキャリアとなった。)

ここから先は

1,932字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?